世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月14日

»著者プロフィール

 豪ロウィー研究所国際安全保障プログラム主任のロリー・メドカーフが、6月3日付National Interest誌ウェブサイト掲載の論説で、中国は武力を背景とした独善的な対外姿勢を打ち出すことによって、アジア・太平洋諸国のなかで孤立を深めつつある、と述べています。

 すなわち、中国が東シナ海、南シナ海において、米、日、フィリピン、ベトナムなどに対し、力を背景に威圧的姿勢をとれば、それは結果的に、中国の利益に適うより、中国の利益を害するものとなろう。中国の現在の対外姿勢のために、フィリピンはもとより、マレーシア、インドネシア、シンガポールなども米国海軍との協力関係を強めたいと考えつつある。

 ベトナムはフィリピンにならって、国際司法裁判所に提訴することも視野に入れているようであり、そうなれば、中国の独善的な領有権主張が世界により明確に知られるようになろう。

 中国とロシアは「新しい連繋」と称し、エネルギー、武器売却、権威主義的態度で同一の姿勢を取り始めた。これを「中露枢軸」と呼ぶ人もいるが、それを誇張しすぎることは両国のプロパガンダを助長するだけである。少なくとも、両国は便宜上の結婚に共通の利益を見出しているだけである。

 ロシアは中国の弟分になることは望んでいないし、日本にもガスを売却したいし、ベトナム、インドには先進的な武器を売りたがっている。両者の関係は、互いに相手側を長期的には不安感をもって見ているという関係に変わりはないだろう。

 5月の上海でのアジア信頼醸成措置会議(CICA)において、習近平は「アジア安保構想」なるものを打ち出し、アジアの問題はアジアの国々が解決するとの考え方を表明した。しかし、このような構想の根拠は薄弱と言わねばならない。CICAの会議なるものにはアジアのメンバーとして、エジプト、イラク、イランなどが入っているが、日本、フィリピン、インドネシア、シンガポールなどは入っていない。ロシアは入っているが、米国は入っていない。

 アジアの安全保障の問題を議論するのに、これまで長年にわたって前進してきた、東アジアサミット、ASEAN地域フォーラム、拡大ASEAN国防相会議のような機構を無視することは出来ない。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る