あの負けがあってこそ

2014年12月18日

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 「俺には近寄るな、蹴散らすぜ」――。そんな凄味のオーラを身に纏っている。どんなに控えめに表現しようともゲーム中の島川慎一には近寄りがたい迫力が満ち溢れている。まるで時間や空間でさえも彼のためには道を開けるようだ。

 島川は1996年、21歳の時に仕事中の交通事故で四肢に麻痺が残る障害を負った。以来車椅子は生活に欠かせないものとなった。怪我をする前まではスポーツにはあまり縁がなく、特に仲間と和気藹々と行うような競技は自分から遠ざけていた。

 しかし、そんな島川に転機が訪れた。友人からの誘いでウィルチェアーラグビーに出合ったのである。

島川慎一さん

自分を変えた車椅子ラグビー

 この競技は、頸髄の損傷などで四肢に麻痺を持つ人たち向けにカナダで考案され、広くアメリカやヨーロッパで普及している国際的な競技で、激しく車椅子同士をぶつけ合うため「マーダーボール(MURDERBALL・殺人球技)」と呼ばれていた歴史を持っている。

 激しいコンタクトを伴う大胆な動きと緻密な戦略を併せ持った特異な競技と言えるだろう(最後に競技についての補足を記載しています)。

 島川はその激しさに魅せられていった。

 「スポーツなんて小学生の頃にサッカーをやっていた程度です。もともと自分は、かちっと真面目にスポーツをするようなタイプじゃありません。それにチームスポーツは大嫌いでしたからね、それなのに15年も競技を続けているなんて自分でも不思議なくらいですよ(笑)」

 「ウィルチェアーラグビーを始めてから、試合や大会に出場するたびにチームスポーツの良さを教えられましたし、この競技のおかげで知り合った人たちが数多くいます。上手くは言えませんが、それまでの生活とか自分とか、いろいろな面で変わっていきました。それが今でも続いている理由でしょうね」

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