うつ病蔓延時代への処方箋

2014年12月22日

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 人生は順風満帆な時もあれば、悩み、後悔することもある。そんな当たり前のことが落ち込んでいる瞬間は忘れてしまう。嫌味たっぷりな上司の言葉に傷つき、言葉が足りないせいか、周囲の人たちに自分を分かってもらえない。そんな辛い時もある。だが、必ず理解してくれる人はいる。馬が合わない人がいるからこそ、人生は面白い。そんな気づきを与えてくれたのがプロデューサーでテレビ・ラジオでも活躍する残間里江子さんの考え。新著の『閉じる幸せ』(岩波新書)で残間さんが主張する新しい自分を見つける手法は、抑うつ状態から心を解放する効果もあると感じた。

残間里江子(ざんま・りえこ)
1950年、仙台市生まれ。地方テレビ局アナウンサーを経て、女性雑誌記者、編集者。80年企画制作会社キャンディッド(現キャンディット・コミュニケーションズ)を設立、社長に就任。81年山口百恵の「蒼い時」をプロデュース。2002年社名変更し会長に就任。財務省、国土交通省、厚生労働省、法務省などの審議会、検討会などの委員を歴任。09年から新しい大人文化の創造を基本テーマにした会員組織「クラブ・ウィルビー」(http://www.club-willbe.jp)を立ち上げ代表を務める。近著に『閉じる幸せ』(岩波書店)。他に著書多数。

うつ病の増加は繊細な言葉の欠如もある

―― 残間さんは著書で「閉じる」ことの必要性を語っています。人とのしがらみでどうしようもない時、仕事を抱え過ぎて身動きが取れなくなった時など、多くのシーンが想定できますが、そのような時には、閉じてみる勇気が必要だと強調されていますね。うつ状態に陥る人たちは、閉じられないことが要因の一つにあげられるかもしれません。この点について考え方を聞かせてください。

残間里江子氏

残間:厚労省がうつ病対策として立ち上げたサイト「心の耳」を最初に手掛けたのは私たちです。わずか1年間でしたが、閉じこもらずにコミュニケーションをとることの重要性などを学びました。知人からの依頼で多くの抑うつ状態の人たちとも会い、適切な言葉をかけるというよりは、しっかりと話を聞くことの重要性を感じましたね。

 話を聞いていると自分を叱咤する気持ちと、他人が自分を理解してくれない、ある種の怒りに近い感情があることが分かります。自分が抱く思いと世の中が下す反応がずれている、主観と客観の狭間に生じたズレを修正できないことが、うつ状態に陥っているのではと感じました。

 本人は気付かず辛い思いをしている。そんなに自分を責めなくてもいいのに追い詰めたり、その逆だったりと人それぞれで違うパターンがあることも知り、そのような傾向にあることが問題だと感じたものです。うつ状態の人への接し方は汎用性がないと思います。

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