うつ状態から脱する考え方も
「閉じる幸せ」にある多くのヒント

プロデューサー 残間里江子氏に聞く


海部隆太郎 (かいべ・りゅうたろう)  ジャーナリスト

日本工業新聞記者、IT企業の広報部長を経て、現在フリージャーナリストとして活躍。

うつ病蔓延時代への処方箋

うつ病対策が叫ばれているが、減少する兆しは見えない。うつ病蔓延の原因は不景気の影響や豊かさの中での愛情の欠如など、多様な背景があげられるが、定かではなく、証明できるものもない。こうした状況を踏まえ、うつ病患者の実態と対策、予防策について、あらゆる角度の専門家たちにインタビューする。

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人生は順風満帆な時もあれば、悩み、後悔することもある。そんな当たり前のことが落ち込んでいる瞬間は忘れてしまう。嫌味たっぷりな上司の言葉に傷つき、言葉が足りないせいか、周囲の人たちに自分を分かってもらえない。そんな辛い時もある。だが、必ず理解してくれる人はいる。馬が合わない人がいるからこそ、人生は面白い。そんな気づきを与えてくれたのがプロデューサーでテレビ・ラジオでも活躍する残間里江子さんの考え。新著の『閉じる幸せ』(岩波新書)で残間さんが主張する新しい自分を見つける手法は、抑うつ状態から心を解放する効果もあると感じた。

残間里江子(ざんま・りえこ)
1950年、仙台市生まれ。地方テレビ局アナウンサーを経て、女性雑誌記者、編集者。80年企画制作会社キャンディッド(現キャンディット・コミュニケーションズ)を設立、社長に就任。81年山口百恵の「蒼い時」をプロデュース。2002年社名変更し会長に就任。財務省、国土交通省、厚生労働省、法務省などの審議会、検討会などの委員を歴任。09年から新しい大人文化の創造を基本テーマにした会員組織「クラブ・ウィルビー」(http://www.club-willbe.jp)を立ち上げ代表を務める。近著に『閉じる幸せ』(岩波書店)。他に著書多数。

うつ病の増加は繊細な言葉の欠如もある

―― 残間さんは著書で「閉じる」ことの必要性を語っています。人とのしがらみでどうしようもない時、仕事を抱え過ぎて身動きが取れなくなった時など、多くのシーンが想定できますが、そのような時には、閉じてみる勇気が必要だと強調されていますね。うつ状態に陥る人たちは、閉じられないことが要因の一つにあげられるかもしれません。この点について考え方を聞かせてください。

残間里江子氏

残間:厚労省がうつ病対策として立ち上げたサイト「心の耳」を最初に手掛けたのは私たちです。わずか1年間でしたが、閉じこもらずにコミュニケーションをとることの重要性などを学びました。知人からの依頼で多くの抑うつ状態の人たちとも会い、適切な言葉をかけるというよりは、しっかりと話を聞くことの重要性を感じましたね。

 話を聞いていると自分を叱咤する気持ちと、他人が自分を理解してくれない、ある種の怒りに近い感情があることが分かります。自分が抱く思いと世の中が下す反応がずれている、主観と客観の狭間に生じたズレを修正できないことが、うつ状態に陥っているのではと感じました。

 本人は気付かず辛い思いをしている。そんなに自分を責めなくてもいいのに追い詰めたり、その逆だったりと人それぞれで違うパターンがあることも知り、そのような傾向にあることが問題だと感じたものです。うつ状態の人への接し方は汎用性がないと思います。

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「うつ病蔓延時代への処方箋」

著者

海部隆太郎(かいべ・りゅうたろう)

ジャーナリスト

日本工業新聞記者、IT企業の広報部長を経て、現在フリージャーナリストとして活躍。

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