未婚大国ニッポン~“絆”のゆくえ 「まだシングル、ずっとシングル」

2015年12月15日

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にらさわあきこ (にらさわ・あきこ)

文筆家

NHKディレクターとして海外紀行番組や人気スタジオ番組などを多数手がけた後、文筆業に。幸せな生き方を追求して、取材・執筆活動を行う。本サイトでの連載に加筆修正のうえ、書き下ろし原稿を加えた『未婚当然時代~シングルたちの絆のゆくえ』(ポプラ新書)のほか、500人の男女を取材して書いた『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)や、婚活する女性たちの姿を描いた『婚活難民』(光文社)、『婚活に疲れたあなたへ』(マガジンハウス)、『婚活の神様!』(幻冬舎)など著書多数。丁寧に心情に迫る取材姿勢に、定評がある。http://www.nirasawa-akiko.com/

 50歳時点での未婚者たちの割合は、2010年の国勢調査では、男性が2割、女性が1割と、男性が女性の倍だった。

 そこで、50歳前後の未婚男性に話を聞かせていただいたところ、「ずっと一人では生きている意味がない」と言う男性が現れた。どういう意味で口にしたのか、聞かせてもらうことにした。

Getty Images

 

一人が都合よかった

 

 発言をしたのは、福田和也さん(50歳・仮名)。フリーランスのソフト開発者として、自宅で仕事をしている。

 フリーだからか、恰好も若く、私と会った日もアーチストのTシャツにジーンズとスニーカー。髪はこざっぱりと切っていて、遠目から見たら学生と言っても通るような雰囲気を醸していた。

 「仕事がある日もオフも、こんなですよ」
と気難しそうに口にしたのだが、その口調に他意はないのだと話しているうちにわかった。

 フリーになったのは、30歳の時。

 自分のペースで好きなように仕事をしたいと思ったのと、会社にいても社員はそれぞれで仕事をするだけだったので、「フリーになっても同じかなあと思って気軽に辞めました」。

 

他人と一緒は煩わしかった

 

 収入は会社員時代も300万円程度と多くなかったので、フリーになってもさほど違いはなく、むしろ、ノっているときは寝ないで仕事のできる自由な環境を嬉しく思うだけだった。

 付き合っている女性がいたのは、30歳のころまで。その彼女とは一緒に住むほどまでになったが、「人といるのが煩わしくなって、あっさりと別れました」

 以来、彼女ができたことはない。

 「当時、同棲に近いことをして、自分は人とは一緒に住めないとつくづく悟ったんですね。だから、ずっと一人でいいなあと」

 けれど、気持ちは長くは続かなかった。

 40歳になる前くらいから、結婚に憧れるようになり、50歳の今では、結婚したくてたまらないほどになっている。

 どうして変わったのだろうか?

 

人生に一発逆転なんてない?

 

 「人生に“一発逆転”がないんじゃないかとうすうす気がついたからですね。30代半ばくらいまでは、自分はまだまだイケると信じていて、なんならタレントと結婚できるかもと半ば本気で思ってました。でも、35歳を過ぎたころに、思うようになったんです。『あれれ、俺って、もしかしてこのままずっといくのかな? もう、人生の大逆転はないのかな?』と。そのくらいからですかね~、いわゆる“普通の暮らし”というのが、いかに貴重なものなのかを、痛感できるようになったのは」

 福田さんの言う“普通の暮らし”とは、会社に勤め、家庭を持ち、お父さんになってゆく暮らしのこと。

 「若いころは、自分はもっと特別な存在になれると思ってたし、普通の暮らしを選ぶ友人を低く見ていたところがありました。だけど、30代半ばまでを自由に過ごしてわかったのは、一人では生活に変化がないってこと。

 子供がいる家庭なら、季節ごとに行楽に出かけたり、子供が進級するたびにいろんな行事があるのでしょうが、自分には、何一つない。……ああそうか、だから、人は結婚をしたり、家庭を持ったりしようとするんだなと、やっとわかったんです」

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