プロ野球はオープン戦たけなわだが、今回は13日に行われる名古屋ウィメンズマラソンに注目したい。リオデジャネイロ五輪の女子マラソン代表最終選考レースであり、2004年アテネ五輪の金メダリスト野口みずき(シスメックス)が「五輪への挑戦はこれが最後」と明言して出場する。一方、代表入りが有力視されている福士加代子(ワコール)が一度は参戦を表明しながら、一転して欠場を決め込むという騒動も起こった。かつて日本のお家芸だった女子マラソン史上、様々な意味で曲がり角となりそうな大会なのである。
五輪への最後の挑戦
福士は1月31日、大阪国際女子マラソンで2時間22分17秒で優勝した。日本陸連による設定記録2時間22分30秒をひとりだけクリアする好タイムで、昨夏の世界陸上北京大会で7位に入賞した伊藤舞(大塚製薬=リオ五輪内定済み)に続き、代表入りは確実と見られている。が、最終レースの名古屋で設定記録をクリアする選手が2人以上出た場合、福士が落選する可能性が僅かながらも残っているため、陸連は「当確」を出せなかった。
これに態度を硬化させた福士、永山忠幸・ワコール監督が2月25日、名古屋へ一般参加でエントリーした。ゼッケンも101番と決まっていた。だが、大阪国際から41日後にまたフルマラソンを走ったりしたら、たとえリオ五輪のマラソン(8月14日)に出場できても惨敗は確実。陸連が思いとどまるように要望していた最中、3月1日になって突然、名古屋の大会実行委員会が福士の欠場を発表したのだ。どうやら、福士、永山監督としては、曖昧な選考基準に対する問題提起が目的で、強行出場するつもりは最初からなかったようだ。人騒がせとの誹りは免れまいが、五輪への執念を感じさせる行動だったとも言える。