2024年5月3日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年5月4日

クリントン候補の苦悩

ペンシルベニア州フィラデルフィア北部を走るサンダース支持のバス(筆者撮影@ペンシルベニア州フィラデルフィア北部)

 さて、クリントン候補は、ニューヨーク州及びペンシルべニア州における勝利演説で、サンダース陣営に一緒に戦おうと呼びかけました。ところが、サンダース陣営は徹底抗戦の構えをみせています。クリントン候補は、サンダース上院議員が無条件に支持表明をすることを強く望んでいます。というのは、2008年民主党候補指名争いで、クリントン候補には接戦の末、オバマ候補(当時)に敗れた経験があるからです。クリントン候補は、同年 6月に撤退をした後、無条件にオバマ候補を支持し、全国党大会で民主党統一のためにオバマ候補を支持するように自ら支持者の説得に当たったのです。無条件とは、たとえばサンダース上院議員が党の政策綱領に自分が主張する非常にリベラルな政策を入れることを支持表明の条件としないという意味です。

 クリントン候補は、08年民主党候補指名争いで自分がとった行動と同じ行動をサンダース上院議員に期待しています。しかし、同候補と同上院議員の間には、まずイデオロギーの相違が存在しています。同上院議員がリベラルなのに対して、同候補は中道でタカ派です。それに加えて、2人の間には、民主党に対する思いや忠誠心において温度差があるのです。無所属の同上院議員が同候補に対して最終的に支持表明をするとしても、同候補が描いている方向にスムーズには進まないでしょう。
 

  
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