WEDGE REPORT

2016年7月3日

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 縁結びの神社として知られている出雲大社が行う「平成の大遷宮」に合わせ、大社本殿のほか22棟の建造物修理事業が2008年9月からはじまり、現在も引き続き行われている。国宝に指定されている本殿の現場工事を指揮した清水建設の金久保仁・文化財伝統建築担当主査(58)は、「既存の御本殿は、屋根の部分の雨水が侵入しないようにした葺き方や、板の継ぎ目に漆を使って止水手当てをするなど、これでもかというぐらい念入りな作業だった。楽に施工できることを優先に考えてしまう現代の工事に忠告しているようで、大きな教訓になった」と話し、特別な思いで修復工事を振り返った。

本殿屋根の修復作業

日本古来の建築様式

 切妻造のいまの本殿は国内最大級の大社造りで、大陸から伝わった建築様式とは異なる日本古来の貴重なもので、約270年前の1744年(延享元年)に建立された。その後、1809年、1881年、1953年の遷宮に合わせて修造が行われてきた。

 約60年ぶりの文化財建造物の保存修理は、部材の腐食や損傷が外観だけでは判別しにくいため解体して確かめることが多かった。解体してみて傷んでいるところがあれば部材を新しいものと取り替え、使えるものであれば修理をしてそのまま生かす。保存修理工事では、工事関係者の判断だけではなく現場の設計監理を行う文化財建造物保存技術協会の判断を仰ぎ、材料を取り換えるかそのまま使うか最終判断をする。

 解体した場合は、部材の点数が膨大になるため、どの部材がどこにあったか間違わないようにするため番付をつけていた。今回の工事では解体してみると傷んでいるところが設計段階よりも多かったため、工期を守るためプレッシャーがかかったという。

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