オトナの教養 週末の一冊

2016年8月25日

»著者プロフィール
著者
閉じる

本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 夫より妻の収入が多いと格差婚と報道されたり、平日の昼間に家の近所を歩いていると白い目で見られたりと、「男は会社員としてバリバリ働くべきだ」という画一的な意識が未だに残っている。一方で育児への参加、女性の活躍などの多様性が叫ばれるこの世の中で、男はどう生きて行くべきなのか。そこで『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社)、『<40男>はなぜ嫌われるか』(イースト新書)などの著作があり、男性学を専門とする武蔵大学社会学部の田中俊之助教に男性学や長時間労働、中年男性の弱さなどについて話を聞いた。

――結婚や出産、専業主婦、働き方など女性としての働き方や生き方については様々に論じられる一方で男性に関しては未だに「働く」以外の選択肢がないように見えます。

田中:当然、これまでも男性自身が男性として求められる働き方や生き方に疑問を持っていたとは思いますが、それはなきものとして扱われてきました。

『男が働かない、いいじゃないか!』(田中俊之 著、講談社)

 その背景には高度経済成長期から1970年代にかけて「男は仕事、女は家庭」と分業が進んだことがあげられます。右肩上がりに経済成長が続いていた時代には、この分業は非常に機能的でした。例えば企業にとって人件費は大きな支出です。夫婦二人に働いてもらうよりも、夫一人にがむしゃらに働いてもらったほうが支出は少なくて済む。それだけがむしゃらに働き疲れ果て家に帰れば、子育てや家事をすることは出来ません。そこで専業主婦の妻にケアをしてもらえば、次の日また働くことが出来る。経済効率や成長だけを考えると、性別役割分担は非常に機能するんです。

 70年代の日本の女性は男女雇用機会均等法がまだ存在せず、早期に退職させられたり、給与も安く現在から考えれば明らかな女性差別の慣習がありました。現在でも女性が女性であるために抱えてしまう問題は数多くあり、そうした中で女性の働き方や生き方を研究する女性学が登場したことは明らかです。

 一方、男性の中にも仕事ばかりの生き方に不満や生きづらさなどの疑問を持っていた人はいたと思いますが、仕事を辞めてしまうと家庭も社会も崩壊しかねなかったのでなきものとされてきたんです。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る