障害者アスリート~越えてきた壁の数だけ強くなれた

2016年9月26日

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 「私は今まで健常者と同じフィールドでプレーしてきました。ラグビーだって同じです。15人制の日本代表を目指して周りと同じ条件の中で闘ってきました。今度はスキーでそれをやります。私は健常者と闘っても、勝ってトップに立てる人になりたいです」

 「そんな気持ちで新しい環境にチャレンジします」

本堂杏実さん。日本体育大学にてお話をうかがった(筆者撮影、以下同)

 今回のアスリートは先天性左全手指欠損の障害がありながら、ラグビー、ボクシング、陸上競技、スキー等、多彩な競技歴を持つ日本体育大学女子ラグビー部2年生の本堂杏実さん。小柄で俊敏という第一印象に加え、特筆すべきは左手の障害をまったく気づかせないほどプレーの精度が高いことだ。

 「派手なヘッドキャップは良いプレーをしても、その逆でも目立ちますよね、だからみんなとは違うものを選びたいんです」

 手を抜かないという気持ちを表したものだ。

 やるからには、ひたむきに目標を目指す。

 そんな彼女に予期せぬ転機が訪れた。2016年の夏に始まった物語をご紹介したい。

ラグビーとの出会い
運動は好きだけど集団生活は苦手

 本堂杏実(ほんどう あんみ)埼玉県生まれ。

 「母が言うのは小さい頃から周りの子たちと何も変わらないように育ててくれたみたいで、幼稚園に上がる頃には靴紐も自分で結べていたようです。おばあちゃんが手伝おうとすると『やめて、ひとりで結ばせて』と母に止められていたと聞いています」

 「確かに大変だったこともあるのですが、そのおかげで何でも一人でできるようになれたと思っています」

 しかし、幼い頃にはこんなエピソードもある。

 小学校低学年の頃のこと、男子から「手無し」と言われ、あまりにも悲しくて泣きながら家に帰ると、カーテンの陰に隠れて泣いた。

 「何かあったの?」という母の問い掛けに「男の子に手無しって言われた」と話したところ、母は「おまえには心がないんだ」と言い返してやりなさいと返ってきた。

 「言われたときは悲しかったのですが、家に帰って泣いていると悔しくなってガラスを蹴って割ってしまったんです(笑)」

 「言ったその子に『おまえには心がないんだ!』って言い返したら、それっきり言わなくなりました」

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