2024年11月8日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月7日

 カーター米国防長官が9月29日空母カール・ビンソン艦上でアジア太平洋リバランス政策につき演説し、アジア太平洋配備の米軍戦力の近代化と同盟国の間のネットワーク強化を進めていくとの決意を表明しています。主要点は次の通りです。

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米国が単独でやるのではない

 今の主要な安全保障上の課題は、①ロシア、②中国、③北朝鮮、④イラン⑤ISISの5つ。5年前にオバマ大統領が発表したリバランス政策は米国の国家的なコミットメントである。この地域をすべての国が台頭し繁栄することができる地域にするために外交、経済、軍事の政策を進めるものである。

 米国が単独でやるのではない。米国は友邦国や同盟国との間で「原則に基づく包含的な安全保障ネットワーク」を築くことを通じて行う。

 戦後米国は、「紛争の平和的解決、外部からの強制・脅迫不行使、国際法に基づく航行飛行の自由など」の重要原則を擁護してきた。それにより日本等が発展し、今や中国やインドが続いている。TPPは最重要な非軍事のリバランス政策である。米国はTPPをやらねばならない。

 北朝鮮の核開発の他、東シナ海や南シナ海、インド洋などの海洋は将来にとってリスクとなっている。原則擁護のために米は国際法が許す飛行、航行、行動を続ける。

 リバランスの第一段階である過去5年の間、米国は展開部隊の量と展開位置を強化した。この地域に数万人の兵士を追加的に派遣し、2020年までに米国の海外展開海軍と航空アセットの6割を当該地域に展開することを決めた。リバランスは昨年から第二段階に入った。米国の最新兵器(F22やF35ステルス戦闘機、P8哨戒機、戦略爆撃機、DDG1000ステルス駆逐艦など)をアジア太平洋に展開する。最新の戦略等も策定している。

 同盟国等との連携を強化する。アジア太平洋の要である日米同盟は強力である。韓国にはTHAADを配備する。豪州との同盟はグローバル化している(イラク、シリアでも協力)。比との同盟は堅固で、防衛協力強化合意により比軍の近代化を支援している。


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