2024年4月24日(水)

放送大学

2023年5月22日

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放送メディアとインターネットを最大限に活用しすべての人に広く教養教育を提供する放送大学。その40年の実績と公開大学としての役割を継承しながら変化の時代に即した新しい教育への挑戦が始まっている。改革プラン「教学Vision 2027」を掲げる岩永雅也学長に放送大学のこれからの使命を聞いた。
放送大学長 岩永雅也 いわなが・まさや  佐賀県出身。1982年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。大阪大学助手、放送大学教養学部助教授を経て2000年より同教授。博士(学術)。2018年より同大学副学長、2021年4月より現職。専門は教育社会学、生涯学習論、才能教育、社会調査。

いつでもどこでも誰もが「自らを教養する」時代

—岩永学長が考える「大人の教養」とはどのようなものですか?

岩永 かつて話題になったアルビン・トフラーの『未来の衝撃』にこんな挿話があります。77歳になってもなお大学で学び続ける裁縫師が、なぜそれほど学ぶのかと問われ、「私は未来を知りたい。教養ある人間として死にたいのだ。」と答えます。そこに教養の大事な一面を垣間見ることができます。

 教養というと、教育によって得られた知識のストックというのが一般的な捉え方ですが、本来はもっと能動的な行為の意味を持つ言葉でした。大正期に活躍した哲学者の和辻哲郎が、「自らを教養する」つまり学びそれ自体の大切さを説いているのはその表れです。この今なお新鮮な動詞としての表現に、自分に必要なことを自らすすんで学びにいく、自律的な学びの姿勢を見ることができます。

 もちろん、学びの目的や知識の使い途は人それぞれです。同じ学問を修めるにしても、企業倫理について考えようと哲学を学ぶ人がいる一方、自分が歩んだ道程を意味づけるために哲学を頼る人もいます。現在の欧米圏での哲学はリベラルアーツ(自由な学び)に起源を持ちます。誰もが自由に学ぶことこそ教養教育の本質です。

 

「大人の教養教育」で経験知から知恵の結晶を

—大人が学ぶことにはどのような特徴や背景があるのでしょうか?

岩永 大人の学びは、今まで自分が蓄えてきた経験知を学問の助けを借りて体系化し、活用可能な学問知へと転換する作業といえます。あるいは知の結晶化といってもいいでしょう。自分の中にバラバラに存在する経験知の分子をいったん溶解し、再構成して形ある鉱物や金属に結実させる営みです。

 暗記力や計算力のような素早い知力は20歳前後を境に低下しますが、物事を言語的に理解し、経験知をもとに適切な情報を組み合わせて活用する能力は、むしろ齢を重ねるごとに高まります。心理学者のR・キャッテルらはこれを「結晶性知能」と呼びました。そうした能力を学習に最大限活かすことこそ、大人の学びに不可欠の要素だと確信しています。

 

ひとりひとりに最適な学びを社会人のための学府から

—放送大学「教学Vision 2027」による改革の狙いは何でしょう?

岩永 激しく変わる社会状況や技術的環境に合わせ、放送大学の教育効果をいっそう高めるための改革です。「リカレント教育の拡充による学び直し支援」や「教育DXの推進」「新たなメディア活用」など12のアクションプランを立て、利便性の高いオンライン授業科目の拡充などを進めています。単位認定試験のWeb化を実現し、同時双方向型のWeb授業も増設中です(コラム参照)。

 特に今、多様な働き方や新たな雇用を生むための変革が求められる中、仕事に必要となる新しい知識やスキルの獲得に向けた学び直しが重視されています。40年前の開学以来、多くの社会人の継続教育・再教育に注力してきた本学にとって、その期待に応えることは最大の使命です。2027年の目標達成に向けて、その決意と約束をVisionに示しました。

 もちろん、変わらない理念もあります。「大人の教養教育」を柱に掲げてきたほぼ唯一の大学として、多様な人たちの教養を希求する学習を遠隔手段によって支える本学の根幹は、時代が変わっても揺るぎません。そのために放送大学では、約350科目の放送授業と約3000クラスの面接授業を提供しています。1科目でも結構です。存分に学んでください。リスキリングを望む方、大卒資格を求める方、退職後の人生をより豊かにしたい方、そして純粋に好きなことを究めたい方……。放送大学は誰にも等しく開かれた「ひとりひとりに最適な学び」を提供する学府であり続けます。 (以上)

 

放送大学とは

 

1科目から学べる誰にでも開かれた大学

放送大学は、文部科学省・総務省が所管する通信制大学。いつでもどこでも学べる「開かれた大学」として1985年の学生受け入れ以来、累計180万人以上が学び、13万人以上の卒業・修了生を送り出している。BS放送、インターネット、対面を組み合わせて自由に学習可能。卒業(学位取得)を目指す全科履修生、好きな科目だけ学べる選科履修生・科目履修生がある。科目履修生として1科目だけ履修する場合の学費は、入学料7000円+1科目(2単位)の授業料1万1000円の計1万8000円。

TOPICS 「ライブWeb授業」がスタート

 

Web会議システム(Zoom)を利用する授業と、オンライン授業の利点を活かした新たな授業形態として2021年度に開始。リアルタイム双方向型の授業だが、自宅などからパソコンを使って受講でき、講義資料やレポートのやりとりにもオンラインの利便性を取り入れた。
(詳しくはこちらから)

TOPICS 単位認定試験がWeb試験に

 

これまで全国の学習センターやサテライトスペースで実施していた学期末の単位認定試験が、2022年度よりWebで受けられることになった(一部科目は郵送受験)。試験期間中であれば24時間いつでも自宅等から受験可能。