ニッチ・ザ・トップでありたい
杉山社長はグループに参入してから、さらに好影響があったと語る。
「以前から取引もあったが、商社流通のプロであるアルコニックスのおかげで素材供給の幅がさらに広がった。また、当社は来年創立90年と非常に社歴が長く、国内の大手モーターメーカー様と既に信頼関係を築いており、アルコニックスの取引先にモーター関連の商材を紹介できるのも一つの強み。さらに、(同グループの企業である)マークテックの受託業務や大羽精研の取引先展示会への出展等、グループ内の他企業とも積極的に協業させていただいており、新たなネットワークを構築できるという面でさまざまなシナジーが生まれている」
そうした飛躍への成長曲線を描く富士カーボン製造所の展望とは。
「カーボンブラシに使われる黒鉛の特徴を生かし、今はメカニカル分野に注目している。油を使用する粗悪な環境下では腐食してしまいがちな鉄やステンレスと違い、黒鉛は耐腐食性、軽量、自己潤滑性という特性があるため、軸受やシール材等の素材の置き換えとして非常に優れている。そのため、環境面での不具合やコスト面等、お客様が抱える課題の解決に貢献できる素材として有用。今後はこうした需要の拡大を目指し、ニッチなカーボンブラシ業界において我々がニッチ・ザ・トップでありたい。そして、創業100年を超えてもなお、世の中に必要とされる企業であり続けたい」
次の20年に向けた成長戦略
グループ企業の自律成長を促しながら、資金援助のみならず誰もが安心して働ける環境や、少子高齢化に対応した省人化への設備投資を進めるアルコニックス。今後もグループとしての総合力が上がるようなM&Aを手掛けていきたいと話すアルコニックス手代木社長は、1月の北九州・アルミ銅センターの新ヤード開業に向け、成長戦略の一つであるリサイクル事業に情熱を注ぐ。
「非鉄のリサイクルにおいて日本のNo.1を目指したい。昨今のSDGsやカーボンニュートラルの時代にも密接に関わる分野であり、リサイクルはアルコニックスのステークホルダー、社会に対するアンサーであると認識している。以前から粛々とグループ内のガバナンスや人財面におけるインフラ強化を図り、地盤が整ってきた今、10~20年先のスパンでさらに成長を続けることが現在のグループ方針」
アルコニックスグループ全体の方針を実現するためには、各グループ企業のさらなる躍進が必須となる。
誰もが知るような目立つ存在でなくとも、世の中で必要不可欠な部品を手掛けているという矜持が揺らぐことはない。富士カーボン製造所のものづくりは、これからも我々の日常生活を支え続けていくであろう。
代表取締役社長 杉山 悠人(すぎやま・ゆうと)
2008年、名古屋学芸大学メディア造形学部卒業後、株式会社リクルートを経て2015年4月、株式会社富士カーボン製造所入社。同社研究室(現技術開発部)に配属された後、執行役員、執行役員経営企画部長を歴任し、2020年6月、代表取締役社長に就任。
100 年企業を目指して
1935年の創業以来、カーボンブラシの製造販売を生業とし、来年90周年を迎えます。カーボンブラシという非常にニッチな分野で我々がリーディングカンパニーとなるべく、よりよい品質とサービスを提供できるよう全社一丸で努めてまいります。そして、国内でもわずか1.2%程度の100年企業を目指して歩み続けます。
株式会社富士カーボン製造所
本社:愛知県安城市錦町1-11(他 国内3拠点、海外6拠点)
創業:1935年2月
連結売上高:4,398百万円 ※2023年12月期
連結従業員数:732名(国内:192名) ※2024年3月末時点