中国メディアは何を報じているか

2017年7月14日

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 これに関して、「万科は給与カットを否定。リクルーターが高給でヘッドハンティング」と6月19日に報じたのは広州に拠点を置く「南方都市報」。「万科の『内部メールが給与カットを漏らした』という伝聞が巻き起こした議論はいまだ収まらない。最近、同じ不動産業の北京首創も給与カットを暴露された」と伝える。こちらでも5月の業績が販売額、販売面積ともにマイナスだったことを紹介しているが、そのあとで国内の著名な不動産市場研究家の見方として「万科は長い歴史を持つ企業で、わずか短期間の販売状況の微動で給与を調整するという可能性は大きくない」としている。

 万科側の「これは当社が主体的に市場と業界の状況、重点戦略、目下の任務に基づき、適切なタイミングで給与と報奨政策を調整するもので、株主の構成の変化とは何ら関係がない」との回答も掲載している。

不動産バブルの着地点は……

 万科が実際に給与カットに踏み切るかはさておき、天文学的な不動産価格の高騰に支えられ、成長を続けてきた不動産業界の成長率が下がろうとする中、多くの業者が変化を迫られているのは間違いない。不動産業界の今後への不安を指摘する報道も相次いでいる。

 「中国人民銀行の報告『新たに増えた貸付資金は不動産に過度に集中。局所的に市場はバブルとなっている』」(7月5日、新浪財経)、「(交通銀行主席エコノミスト)連平『依然として不動産バブルのリスクに警戒が必要』」(7月5日、中国証券網)、「業界収入大競争:不動産業の黄金時代は最終章に入ったか」(7月11日、21世紀経済報道)など。中国証券網の報道によると、連平氏は「不動産業の緊縮策の出現とコントロール範囲の拡大につれて、市場の需要は様子見になりつつあり、成約速度は大幅に反落し、不動産バブルは抑制された面がある」と発言している。

 一方で連平氏は「目下、不動産のストック量は高く、不動産部門のレバレッジ比率(負債比率)の水準は上昇が早く、加えて不動産業界のリスク耐性は弱く、不動産バブルのリスクは依然警戒が必要だ」とも指摘。不動産バブル崩壊を防ごうと政府が躍起になり、一部で成果を出してはいる。とはいえ、ハイリスク、ハイリターンの投機市場と化している不動産市場は健全化とは程遠い状況にある。

 少し極端な論調のものではあるが、地方の不動産投資情報サイトなどに転載されている論評に「高い不動産価格の背後は深い淵。誰が不動産バブルの殉葬品(死者とともに埋葬される物)になるのか」というものがある。

 「不動産価格は上がり続けると妄信してはいけない。信託商品の一種で将来の資金不足の際に政府による穴埋めを設定しているもの(リスクが低いと考えられている)を妄信するな。学区房(優秀な学校の校区内にある不動産。教育熱心な親に人気で値上がりしている)を妄信するな。不動産はもはや居住属性のものを離れてしまっており、株券や債券のように投機商品になっている。投機商品の売買というのは、どれも負けられない賭博場なのであって、人間の弱点を克服するのが非常に重要だ。現在、人間の欲望という弱点を発揮し、ハイリスクや高い借り入れを使って不動産に投資しているすべての人が、将来骨の髄まで貪り食われて何も残らないということになるだろう」と警鐘を鳴らしている。

 不動産バブルの着地点はどこになるのか。見通しは立ちそうにない。

  
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