ネット炎上のかけらを拾いに

2017年7月18日

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炎上はブランディングにならない

 会見では男性記者が知事に対し、比較的穏やかな口調で「老若男女を対象とするべき観光の面で、賛否が分かれるような内容が適切なのかどうか」と畳みかけたが、知事は「私は非常に面白くていいんじゃないかなと」「あれを見て宮城に行かないということになるとダメだと思いますけどね。そういう感じにはならないのではないか」などと答えている。

 センスのない観光PRをセンスがないと指摘する人がいない宮城県。もしくは、「どうせ宮城なんて来るのはこの程度のPRで喜ぶ層だ」という自己卑下と諦めでいっぱいなのか。

 いったんジェンダー系の炎上が起こると他の視点での批評が行われない傾向がある。ネット上では、「女性視点からの反応」を嫌う人たちが、「面白いじゃないか」と言いさえする。あえてかばうほどのクオリティだと本気で思っているのか。せめて広告に携わる人たちは、「あれどこの制作会社だよ(笑)」くらい言っておいた方がいいのではないか。

 村井知事のコメントは、あの動画が観光PRでありながら、特定の性別・年齢だけをターゲットにしていると見せてしまっていることに気づいていない(もしくは黙認している)時点で致命的だ。ジェンダー的な視点はもちろんだが、そもそも観光PRが何かを理解していないのではないか。

 同じ地方PRでも、宮崎県小林市の移住促進PRムービー“ンダモシタン小林”  “サバイバル下校”は面白い。有名人を起用しなくても、セクシー系に走らなくても、企画力で勝負できることを証明している。あえて炎上を狙って賛否両論を呼ぶのと、安易な方向に走らず見る人の知を信頼して映像を作り上げる姿勢。どちらの好感度が高いだろうか。炎上は人目を引いてもブランディングにはつながらない。

  
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