定年バックパッカー海外放浪記

2017年7月30日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

(2016.4.6.~5.21 45日間 総費用47万円〈航空券含む〉)

ゴーストタウンで生き残っているひとたち

 5月7日(土)。カリフォルニア州のアリゾナ州境の町Needlesからルート66旧道を西進。このあたりは年間降雨量が少なく灌木や多少の草地もあるが大半は土漠である。南部にはモハベ砂漠が広がっている。昼頃にEssexという地名の集落に差し掛かった。

カリフォルニアの砂漠地帯へ向かうルート66旧道。現在では過疎地域の生活道路でありほとんど補修されていない。一部区間では舗装がはげ落ちている

 廃墟となった郵便局、ガソリンスタンド、雑貨屋、モーテルなどが旧道沿いにまばらに残っている。速度を落として観察しながら走っていると煙突から煙が出ている建物があり、さらにポンコツのキャンピングカーにも人が生活しているようだ。

 産業廃棄物のようなガラクタや古タイヤに囲まれたガレージに人が見えたので停車。上半身裸の50代とおぼしき中年男と80歳くらいの爺さんがいた。挨拶すると上半身裸の中年男はマクレーンと名乗った。

砂漠地帯のルート66旧道では人家が疎らなので郵便受けは道路沿いに設置。公道から奥に私道を数マイルも走ったところに人家がある

 マクレーン氏によるとEssexは現在人口8人。最盛時には人口百人以上。当時の主要産業は牧場と鉱山。元々マクレーン家はサンタモニカに定住した一族だ。1912年に祖父がドラッグストアを開業。カリフォルニアでも当時石油が発見され探鉱ブームとなりマクレーン家は石油の油田も所有していたが油田はとっくに枯渇。

Essexの廃屋となったガソリンスタンド

 1978年、マクレーン氏が12歳の時にサンタモニカから現在のEssexに一家は土地を購入して移住してきた。ながらく牧場を経営。現在では砂漠化が進んでいるが当時Essex周辺は豊かな緑の牧場が広がっていたという。その後Essex一帯が砂漠化してゴーストタウンになってしまったのは愚かな政治家による間違った環境保護や環境規制が原因と糾弾。

Essexの廃墟と化した雑貨屋

 「先ず鉱山が環境規制により廃鉱に追い込まれた。次に国立公園の一部に指定されたために人口の灌漑施設や化学肥料の使用が禁止された。それゆえ牧草地や畑に水が引けず豊かな土地が砂漠化してしまった。カリフォルニア州は過去50年自動車の排ガス規制や交通量規制など世界の環境規制、環境基準の最先端を走ってきたが、一部の政治家の人気取りのために行き過ぎた規制に歯止めが利かなかった」とマクレーン氏は避難。

Essexの昔のマーケット。どんな男たちがビールやワインを買っていたのだろうか

 「そもそもマクレーン家は代々共和党の家系だ。それは実業家(businessman)の家系として自由な経済活動を保証して余計なことをしない小さな政府を理想としてきたからだ。だけど現実は真逆に進んでいる。我々の重税(heavy tax)がカリフォルニア州政府職員退職金年金基金(CalPERS)に注ぎ込まれているなんて許せないよ」と氏は憤慨する。

タイヤ販売業を営んでいるマクレーン氏とオジサン

 「牧場を廃業してからタイヤ販売業をやっているけど規制がどんどんうるさくなって現在では200マイル(=約320キロ)離れた処理場まで廃タイヤを運ばなきゃならないんだよ。やってられないよ」と嘆息した。

 マクレーン氏は大統領選挙ではクリントンにもトランプにも期待していないという。

同上

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