田部康喜のTV読本

2017年8月23日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 フジ・関西テレビ系の「僕たちがやりました」(火曜日夜9時)が、破天荒な青春ドラマの展開をみせて新しい一頁を切り開いている。アラサーの窪田正孝が凡下高校の2年生・増渕トビオを演じる。トビオが思いを寄せる幼馴染の美少女・蒼川蓮子(あおかわ・れんこ)役にはハイティーンの永野芽郁(ながの・めい)が起用された。

 来春のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」のヒロイン役が決まっている永野は、将来の大型女優の可能性を早くも見せている。

(iStock/ DAJ)

逃げてはつかまり、また逃げる
追いついては、また逃げられる

 原作・金城宗幸、漫画・荒木光のコミックを徳永友一が脚本化した。ドラマの筋立てに新たな人物を配したり、登場人物のありようを変えたりしているが、骨格はコミックの実写版である。

 「そこそこの人生」を目標にしてきたトビオ(窪田)の運命が大きく変わったのは、仲間たちと悪ふざけのつもりで、不良が多い近くの矢波高校に小さな爆弾をいくつか仕掛けたことに始まる。

 凡下高校の屋上から矢波高校を見下ろしながら、小さな爆弾のスイッチを次々に入れていったのは、トビオとその同級生の丸山友貴(マル、葉山奨之)、伊佐美翔(間宮祥太朗)、そしてOB・小坂秀郎(パイセン、今野浩喜)である。

 パイセン役の今野浩喜の怪演ぶりが見ものである。20代の青年に40代の中年が挑んでいる。頭を坊主刈りにしてあごひげを整えたパイセンは、進学も就職もせずに高級車で凡下高校に乗りつけては、トビオら3人を引き連れて遊び歩いている。高級背広の胸元には札束がいつも入っている。

 マル(葉山)が矢波高校の市橋哲人(新田真剣祐)のグループに言いがかりをつけられて、半殺しの目にあった復讐のために、パイセンが小爆弾によるいたずらを思いついた。

 トビオら4人組が目にした光景は、はじめこそ小爆弾が窓ガラスを割ったように見えていたが、突然に大爆発となって矢波高校の校舎は火に包まれる。プロパンガスの大爆発をともなって死者が10人にも及ぶ大事件となった。「僕たちがやりました」である。

 死傷者がでる事件を発端としたドラマは、トビオら4人組の逃走劇に蓮子(永野)の恋愛模様が絡んでいく。「僕たちがやりました」といったんは覚悟した4人組に、逆転に次ぐ逆転の事態が襲いかかり、真実がどこにあるのかわからなくなる。

 コミックの登場人物の大げさな表情と言葉が、ドラマで実写されてもまったく違和感がない。

 トビオも蓮子もよく走る。走って、走ってまた走る。なにかから逃げ、なにかを追いかける。逃げてはつかまり、また逃げる。追いついては、また逃げられる。

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