WEDGE REPORT

2017年12月7日

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厳戒態勢の米外交施設

 トランプ大統領の決定が伝えられると、世界各国から非難の声が上がった。パレスチナ自治政府は無論のこと、アラブ各国はじめ英仏独など欧州諸国からも米国に対する批判が集中した。

 ただし、アラブの大国であるサウジアラビアやエジプトは表面的には米国の方針に懸念を表明しても、パレスチナを支援する行動は取らない公算が強い。特にサウジのサルマン国王体制はトランプ政権との関係を一段と深めており、最大の関心はパレスチナ問題ではなく、イランの影響力拡大阻止にあるからだ。

 とは言っても、「反米行動に火が付けば、パレスチナだけではなく、イスラム諸国全体に反米デモの嵐が吹き荒れるかもしれない。米国は1人の大統領の自己満足のために、退っ引きならない窮地に立たされかねない」(ベイルート筋)という指摘もある。

 過去にも、2012年には預言者ムハンマドを侮辱した映像が米国で制作されたことにイスラム教徒が反発して反米デモが各地に波及。また米軍兵士が聖典コーランを焼却したことが明るみに出て、その時にも反米デモが起きた。パレスチナでは、6日から3日間を「怒りの日」と名付け、すでに不穏な空気が渦巻いている。暴力の連鎖が起きる懸念がある。

 イスラエルの米大使館には1000人を超える外交官がいるが、国務省はテロなどに巻き込まれないよう、エルサレム旧市街地やヨルダン川西岸への立ち入りを禁じた。また中東各国の大使館などに対しても過激派の攻撃などに備え厳戒するよう指示を出した。

 米国の決定で中東情勢が悪化する恐れから6日の日経平均も大きく下がった。エルサレム問題は世界に暗雲を投げ掛けようとしている。
 

  

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