チャイナ・ウォッチャーの視点

2018年2月7日

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山口亮子 (やまぐち・りょうこ)

ジャーナリスト

2010年京都大学文学部卒業、2013年北京大学歴史学系大学院修了、時事通信社を経て16年よりフリージャーナリストとして活動。

市場の大きさとローコストが魅力

 「中国の中小都市の都市化のスピードはまだ上がっていて、多くの農民が都市に流入している。そこをターゲットにした家具・装飾市場は需要が大きく伸びている」

 VCの天成資本のパートナー、陳超陽はこう地方のビジネスの有望さを語る。天成資本は17年の下半期に、まさにこの部分をターゲットにしたベンチャー「越界家居」に投資した。越界家居は中国風と西洋風の折衷的なデザインの家具や、カラフルで現代的なデザインの家具など、顧客の好みに合わせて、室内全体の家具も含めた装飾をオーダーメイドできる。

陳超陽。教育、旅行、家屋や家具、スポーツ、「新小売」、伝統産業のグレードアップなどに詳しい

 「中国では25~35歳の女性が家庭内の消費の7~8割を決めているとされる。彼女たちの消費力は極めて高く、そこをターゲットにした投資に力を入れている」と陳。なかでも、二、三線都市に流入してくる家庭の女性をターゲットにした家具市場は、堅調な伸びが見込めると判断している。

 中国では都市を「一線都市」「二線都市」「三線都市」と区分する。一線都市は北上広深と天津。二線都市は一線都市より格が落ちるものの国の経済・社会に大きな影響力を持つ都市を指し、青島、厦門(アモイ)、西安、長沙など。三線都市はその下の中小都市だ。

 一線都市は競争が激しいし、人件費も不動産価格も上がっていて、何をするにも高くつくためビジネスをしても利益は少ない。それに対して二線都市、三線都市はまだ都市化の途上にある。政治的にも人口の流入を誘導している最中なので、都市化の流れは当面続く。二、三線都市をターゲットとするビジネスは、成長が落ち着きつつある一線都市に比べて伸びしろが大きい。

 二、三線都市で起業で特に有名になっているのは成都、武漢、長沙など。起業を促進する優遇策が豊富で、インキュベーターなどのスタートアップを支える組織も整えられ、経済条件も恵まれているからだ。海外留学組の地方都市での起業も増えている。「2017年海帰(海外留学組)就業創業調査報告」によると、海外留学組が起業する都市は1位から順に北京、上海、成都、広州、武漢となっている。

 二、三線都市で起業し全国ブランドになるベンチャーもすでに出てきている。三只松鼠はネット上のみで流通する食品ブランドで、安徽省蕪湖市に本部がある。ネット上で服飾の販売をする韓都衣舎は山東省済南市に本部を置く。どちらも中国ではなじみのブランドとして定着している。今後、これまで以上に地方から脚光を浴びるスタートアップが出現するに違いない。

  
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