WEDGE REPORT

2018年2月22日

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 2月14日、南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領がようやく辞任を受け入れた。昨年12月のアフリカ民族会議(ANC)議長選挙でシリル・ラマポーザが新たに議長に選出されてから、すったもんだしたうえでのようやくの決着である。ラマポーザは同日、大統領に就任した。

2月14日に大統領を辞任した南アフリカのジェイコブ・ズマ氏(写真:AP/アフロ)

 もっとも、ズマ大統領の任期は2019年まである。従って、それまでは大統領の座にいることは法的には可能なのだが、2007年、ズマ氏が議長に就任した時も、時のムベキ大統領を、任期満了を待たずに追い出した経緯がある。巡り巡って、今度はズマ氏が追い出されることになったわけだが、何と言っても、すでに南アフリカ国民の人心はズマ氏から完全に離れた。ラマポーザ議長がズマ大統領の任期満了を待たずに辞任を迫ったのは、高まる民衆のズマ大統領に対する反発を踏まえてのものだった。それほどまでにズマ大統領の9年間は、南アフリカを混乱に陥れた。

783件もの汚職嫌疑、贈賄側はすでに刑が確定

 経済は成長から見放され、一人当たり成長率でも他のサブサハラ・アフリカ諸国に大きく後れを取った。政府債務は膨れ上がり、貧富の格差は拡大する一方で、失業率の36%は単に表に出た数字に過ぎない。何より、ズマ氏に向けられた汚職嫌疑が783件に上るというのだから国民があきれるのも無理はない。この783件は、1999年の南アフリカ海軍によるフリゲート艦購入に関するもので、贈賄側のシャビール・シャリクは既に15年の刑が確定しており、ズマ氏に対する捜査も動き出した模様である。

 もっとも、南アフリカで汚職は別に珍しいことではない。トランスパレンシー・インターナショナルが公表する汚職指数というのがある。その国の公職にある者がどれだけ汚職にまみれているかを示す数値で、ゼロが「最もひどく」、100が「最もクリーン」と国民が見ていることを示す。2016年、南アフリカはこの指数が45だった。ちなみに日本は72、スイスは86で、世界に名だたる汚職大国ブラジルは40、インドネシアは37である。つまり、政府高官のほとんどは汚職にまみれている。それでもこの大統領はけた外れなのである。

 そもそも、2007年にズマ氏が大統領に就任した時からして、レイプ・スキャンダル騒動が巻き起こる中での就任だった。それほどズマ氏には汚職、犯罪のきな臭い噂が絶えずまとわりついた。それでもズマ氏は大統領になり、しかも9年間その地位にあった。結局、ズマ氏のまわり、あるいはもう少し広く南アフリカ富裕層一般にとり、こういうズマ氏が大統領でいることが都合良かった、ということに他ならない。

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