World Energy Watch

2018年4月13日

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 トランプ大統領誕生の原動力となったのは、錆びついた工業地帯とよばれる米国中西部北部から北東部に住む製造業関連労働者と東部アパラチア炭田の石炭関連産業労働者の票だった。トランプ大統領も、石炭、石油などの化石燃料掘削に係る環境規制の緩和、温暖化対策を重視したオバマ前大統領が導入した火力発電所からの二酸化炭素排出量規制の見直しなどにたびたび言及し、支持者の期待に応える姿勢を強く打ち出している。

 大統領が見直しを約束した規制の一つが、自動車の燃費に係る規制だった。オバマ前大統領は、二酸化炭素排出量に直接結びつく燃費を向上させるべく高い目標値を打ち出していたが、温暖化を信じないトランプ大統領は、燃費関連技術に大きな投資が必要とされ、自動車価格の上昇を招くとして厳しい規制基準には反対の姿勢を示していた。

(flavijus/iStock)

駆け込み規制を行ったオバマ政権

 オバマ政権は、2022年から2025年型車の規制基準について暫定的な数値を2012年に決め、技術的な達成可能性につき自動車業界などと中間評価の議論を行っていたが、トランプ大統領誕生を受け、2017年1月20日の大統領就任式直前の1月13日に、環境保護庁(EPA)は突然暫定値を正式の数値にすることを決めてしまった。

 規制基準が厳しいとしながらも受ける方向と思われていた自動車業界の関連団体は、トランプ大統領誕生を受け、2025年の規制達成には総額2000億ドルが必要と訴え、反対を鮮明にし、大統領に規制見直しを嘆願した。さらに、EPA決定を不服とし訴訟を起こしたが、2017年3月にデトロイトを訪問したトランプ大統領が規制値を見直すとの意向を表明したことを受け、同月訴訟を取り下げた。燃費規制は、大気汚染の観点からEPA、またエネルギー節約の点から運輸省道路交通安全局(NHTSA)の両機関が管理しているが、両機関は、規制基準に関する中間評価を再開し、結論を2018年4月までに出すことを決めた。

 今年4月2日、EPAプルイット長官は2025年までに達成される燃費基準について見直しを開始すると発表したが、厳しい規制が必要と主張していたカリフォルニア州などは、EPAが規制値を緩和するのであれば、独自の規制基準を設けると主張し、EPA、州政府間でお互いを非難する激しい論争が巻き起こっている。一方、米国の一部マスコミは、輸入車に対してのみ、より厳しい燃費基準を適用し米国車の生産、販売増につなげる動きも政権内部にあると伝えている。輸入車だけに厳しい基準を適用すれば、日本車をはじめ韓国車などの輸入車は大きな影響を受けることになるのだろうか。

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