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2011年6月20日

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 「ビジネスでも、コンディションがよくないとか、自分の仕事が時流に乗っていないとか、ライバルが多いとか、いろいろあると思います。そういう時でも、やっぱり前に進まないといけないからね。後悔をなるべく少なくできるように、自分で自分の尻をたたかないとね」

 言い訳で取り繕っても、後で「あの時、ああしていれば」と悔やむだけ。仕事に思い入れのある人なら共感できる言葉だ。一方で、自分は何がやりたいのかわからないまま流されている人は、後悔すらしないのではないか。

 「僕は野球が好きでスタートしたから幸せだけど、いざ試合となったら苦痛のほうが多かったですよ。やっぱり、お金をもらうのはたいへんなことで、責任があるんです。だから自分のできる最大限のことをやらなきゃいかんのですね。いい仕事をすれば、周りに『よかった』と言ってもらえるし、自分も『やった』という思いを味わえる。その思いをしないで仕事をしてもつまらないですよ。仕事を変えたって、次もいいことばかりじゃないんですから、今日やらなきゃいけない仕事に、自分で『よしっ』って思えるものを見つけたいよね」

 王がホークスの監督に就いた頃の、選手との関係と似ているかもしれない。この人のことなら信じてみるかという先輩の言うがままに、しばらく言い訳をしないで頑張ってみる。先輩は、結果につなげてやろうと、あれこれ知恵を絞る。失敗の原因を外に求めず、自分に矢印を向けるからこそ、乗り越えた自分を実感できるのだ。「よしっ」という気持ちがいちばん強くなるのは、そんな時だろう。いい思いを味わえば、努力を避けて「別に俺は……」と斜に構えてやってきたことがいかにつまらないか、すぐにわかる。自分自身の人生を何かのせいにしながら生きていくなんて、どれだけ虚しいか。

 お金をもらうことだけがプロの定義ではなかろう。進むべき道があり、やるべきことがあるという意味では、ビジネスマンだけじゃなくて主婦も学生も、みんな何らかのプロなんだと思う。王は言う、「最初からプロとしてやれる人はいません。誰でも、いろいろ経験をしてプロになっていくんですよ」と。だから言い訳せずに前を向こう。自分には、自分が思う以上の力があるはずだ。(文中敬称略)

◆WEDGE2011年7月号より

 


 


 

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