前向きに読み解く経済の裏側

2019年1月21日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

小規模企業共済制度も税制上のメリット大

 年金ではありませんが、小規模企業共済制度も利用しましょう。個人事業をやめたとき、中小企業の役員を退任したとき、などに生活資金を受け取れるように、あらかじめ積み立てをしておく制度です。

 掛け金は月額7万円までで、全額が所得控除になりますから、特に所得の大きな事業者にはメリット大です。資金繰りが苦しい時には、支払済の掛け金を担保に借り入れができるので、その面でも安心です。

法人成りも選択肢

 自営業者には、「法人成り」をする選択肢もあります。株式会社を設立して自分が社長になると、サラリーマンの扱いとなります。厚生年金の対象となりますから、老後の「長生きとインフレのリスク」は緩和されるでしょう。加えて、妻が専業主婦ならば、国民年金保険料等を支払う必要がなくなります。

 iDeCoの枠は小さくなってしまいますが、一方で企業型確定拠出年金の制度を作れば、iDeCoと同様に掛け金が所得控除となり、運用益が非課税となります。定年後の受取時には所得税がかかる可能性もありますが、その場合でも税の繰延べ効果が享受できますし、退職所得控除や公的年金等控除が使えるので、お得です。

 妻も手伝っている場合は、妻も社員にして給料を払い、厚生年金に加入させましょう。「サラリーマンの専業主婦として年金保険料を払わない」という選択肢もありますが、女性の方が平均寿命が長いことを考えると、妻の年金を充実させるメリットは大きいでしょう。もちろん、妻が社長で厚生年金に加入し、夫が専業主夫になる、という選択肢も要検討ですが(笑)。

 ただ、法人成りをすると、様々な手続きや費用が必要ですし、法人税等を支払う必要が出て来ますので、本当にその方が得であるのか否かはケース・バイ・ケースでしょう。事業の性格や収益性なども考慮する必要があることは当然です。

 したがって本稿としては、法人成りも選択肢であることを指摘するにとどめておきます。具体的な検討の際には、税理士やファイナンシャル・プランナー(FP)などの専門家に相談してみることをお勧めします。

  
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