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2019年3月1日

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証言を終えて引き上げるコーエン氏(REUTERS/AFLO)

 トランプ大統領の顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏(52)は27日、米下院監視委員会で証言し、トランプ大統領がポルノ女優らとの不倫もみ消し疑惑で嘘をつくよう直接指示、メラニア夫人に対しても嘘をつかせたと暴露した。同氏はロシアゲートなどで大統領の暗黒面を次々に明るみに出し、米朝首脳会談の失敗で意気消沈する大統領をさらなる窮地に陥れている。

夫人をなだめるために利用

 コーエン氏はトランプ氏の活動の汚れ役“フィクサー”として長年、仕えてきた。証言によると、トランプ氏の指示を受け、10年間で約500回も人を脅しつけてきたという。その対象はトランプ氏のことを記事にしようとした記者から、トランプ氏の出身高校や大学まで多岐にわたっていたとしている。高校や大学にはトランプ氏の成績を表に出さないように釘を刺した。

 コーエン氏はトランプ氏の不倫相手とされるポルノ女優ストーミー・ダニエルズさん、モデルのカレン・マクドゥーガルさんに大統領選挙前に口止め料を支払った選挙資金法違反などに問われ、昨年暮れ有罪判決を受けた。5月から3年間服役することになっている。

 この不倫もみ消し疑惑についてトランプ大統領はコーエン氏に対し、メラニア夫人に否定してみせるよう命じた。2017年のある時、大統領はコーエン氏に電話を掛け、メラニア夫人に携帯を渡して、不倫話が事実無根であるという嘘をコーエン氏に言わせた。同氏は証言で「大統領夫人に嘘をついたのは私の最大の後悔の1つだ」と述べた。

 メラニア夫人は女性遍歴やセクハラ発言で知られたトランプ氏について「夫を信じている」などと擁護していたが、ポルノ女優のダニエルズさんとの不倫話はショックだった。不倫があった2006年7月当時、夫人は初めての子供であるバロン君を身ごもっていたからだ。大統領に激怒していたと伝えられており、夫人をなだめるために電話を掛け、コーエン氏を利用したようだ。

 コーエン氏はメラニア夫人がエレベーターの中で、トランプ氏に叩かれた様子を映したビデオテープがあるといううわさについて、テープを探したが、存在しなかったとし、トランプ氏がそうした暴力的な行動をしたことがないと擁護もした。また同氏は大統領が婚外子のために1万5000ドルを支払ったという根強いうわさ話も否定した。

 不倫もみ消し疑惑に関し、今回の証言で明らかになったのは、大統領が嘘をつくようコーエン氏に「直接指示していた」点だ。大統領は当初、疑惑自体を全面否定したが、その後あいまいな態度に終始。しかし、コーエン氏個人が出していたダニエルズさんへの口止め料13万ドルを後日、大統領側が払い戻していたことも明らかになっている。「現職の大統領は訴追されない」という司法省の政策がなければ、コーエン氏の共犯として起訴されるに十分な容疑だ。

 コーエン氏は証言の際、この払い戻しの証拠として、2017年8月1日付けのトランプ大統領の署名入りの小切手(3万5000ドル)と、同年3月17日付けの大統領の長男ジュニア氏署名の小切手(同)のコピーを議会に提出した。ジュニア氏が不倫もみ消し疑惑に深く関与していたことが初めて明らかになった。

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