矢島里佳の「暮らしを豊かにする道具」

2019年5月24日

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矢島里佳 (やじま・りか)

株式会社和える 代表取締役

1988年東京都生まれ。職人と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から全国を回り始め、大学時代に日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いから、大学4年時である2011年3月、株式会社和えるを創業、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2012年3月、幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、 “0歳からの伝統ブランドaeru”を立ち上げ、日本全国の職人と共にオリジナル商品を生み出す。テレビ東京「ガイアの夜明け」にて特集される。日本の伝統や先人の智慧を、暮らしの中で活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中。

「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いで、各地の伝統工芸の職人さんたちと一緒にオリジナル商品を生み出す矢島里佳さんが、日々の暮らしを豊かにする道具を紹介しつつ、忘れられがちな日本文化の魅力を発信していきます。

 子どもの頃にはあんなに絵を描いたり、物を作ったりしていたのに、大人になるとぱったりと手を動かさなくなってしまった。しかしながら、職人さんが物を作っているところを見ていると、なんだか手を動かしたくなってくる。何か手を動かして物をつくりたいという欲求は、人間が本能的に持っているものなのかもしれない。子どもの頃は、その本能に素直に生きていたのかもしれない。

写真提供:筆者

 「職人さんって何がすごいのか?」

 これを言葉だけで説明するのはなかなか難しい。職人さんは、さも当たり前のように、ものづくりをされるので、何が難しいのか、何が熟練の技術なのか、見ているだけではわかりにくい。私も19歳、日本の伝統産業に出逢ったばかりの頃は、はじめてみる原材料や、道具、ものづくりの光景に、ただただ「すごーい!」としか言えなかった。でも、すごーい!だけでは、面白みに欠けるので、もう少しどうすごいのかを知りたくなったのだ。

 そんな私が始めたのが、職人さんのお仕事体験をするということ。以前紹介した、奈良県生駒市での茶筅づくりもそうだが、作ってはじめてわかる職人さんのすごさがある。ものづくりの難しさと面白さを体感することで、ものの価値を理解できる一歩を踏み出せる気がしている。

「渋草焼」の絵付け体験

 岐阜の高山に渋草焼という焼き物がある。渋草焼自体、藩の政策として始まった焼き物。(詳しくはこちらの記事をご覧いただきたい)

写真提供:筆者

 私が今回仕事で伺った際に、絵付け体験をさせていただいた場所は、高山市の指定有形民俗文化財の中なのだ。

写真提供:筆者

 都市でも絵付け体験はできるが、やはり場も含めて体感するのは一味違う。実際に職人さんが仕事をされている工房の中での絵付け体験は、とても贅沢であった。

 渋草焼を作るのに使っていた陶石も庭先に置いてあった。まだ陶石は山に残っているものの、今では、地元での採掘をする会社がなくなり、残念ながら地元材は手に入らなくなってしまったそうだ。そこで、限りなく近い性質の原材料を探し求め、熊本の天草陶石を取り寄せて使っているとのことであった。

写真提供:筆者

 今回は、正方形の角丸のお皿に絵付けをすることになり、私は辰年なので大好きな龍を描くことにした。

写真提供:筆者

 とはいえ、どう描いていいものやらさっぱりわからず、「何かお手本が欲しいなぁ……」とつぶやいたところ、こんなにも立派なお手本をお貸しいただけた。

写真提供:筆者

 もはやこのお手本自体が素敵すぎて、持って帰りたい勢いだったのだが、そこは我慢。和綴じの本を見るだけで、ウキウキするのだが、この表紙もカッコよくて、ますますウキウキした。

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