世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年6月14日

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 5月25日より28日まで、トランプ大統領及び令夫人は、天皇陛下御即位後、最初の国賓として日本に来日した。これに関しては、4月の安倍総理のワシントン訪問での日米首脳会談、6月に大阪で開催予定のG20サミットがある中、わざわざ5月に設定する意味があったのか、安倍総理とのゴルフや相撲観戦等、娯楽的要素が多いのではないか等の声が聞かれた。また、日米貿易交渉であまり厳しくされないようにトランプ大統領を歓待しておこうという意図があるのではともいわれた。しかし、ホワイト・ハウスも指摘しているように、「世界で最も長く続く皇国(dynasty)」の特別な「200年に一度」の譲位後の最初の国賓としての米国大統領の訪日にはもっと深い意義があるというべきであろう。

(Andrey Suslov/Willard/antpkr/daboost/iStock)

 まず平成を振り返る時、日本国民は「戦争のない平和な時代だった」と言った。日本が戦場となる戦争が昭和20年(1945年)終わってから昭和64年(1989年)まで、そして平成31年(2019年)まで、昭和から平和にかけ、約74年間、日本は平和を享受した。それを「平和憲法」のお蔭という人もいるが、そういう訳ではない。その実質は、日本国が1952年に主権を回復し独立国として再出発してから、米国と同盟を組み、日米安全保障条約の下、安全保障に意を用いて取り組んできたことが、平和を維持し、戦争を回避する抑止力になっていたということだ。抑止はその姿が見えにくい。抑止が成功している期間が長くなるにつれてその効用を見失いがちになる。トランプ大統領は、5月28日の離日前、最後に横須賀の基地を訪問した。同大統領と安倍首相が並んで日本の海上自衛隊と米国の海軍を前に訓示したことは日米同盟の成功を象徴するものであった。

 第2に、上皇・上皇后両陛下もおっしゃられたように、「平成は災害の多い時代」でもあった。平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災から、未曽有の災害として記憶される平成23年(2011年)の東日本大震災、その他にも豪雨、台風、噴火等、数々の場面が思い出され、その都度、被災地を慰問訪問された上皇・上皇后両陛下のお姿があった。自衛隊の災害派遣が本格化したのも平成時代である。その中でも、5月27日の宮中晩餐会で天皇陛下がお言葉の中で述べられたように、東日本大震災の際に米国が2万人を動員して展開した「トモダチ作戦」は、友情の表現であり、本当に有難いものであった。在沖縄海兵隊による仙台空港の復旧がなければ物資の輸送もままならなかったという。

 日米の歴史を振り返る時、太平洋戦争という多大の犠牲を出した大戦争の敵同士が、今日、地域や世界の平和を守るために、比類なき同盟を組んでいることは、世界に誇れることだと言えよう。

 第3に、令和の御代を始め、今後の世界の将来を考える際にも、緊密な日米関係には多くの意義を見出すことが出来よう。トランプ大統領は、宮中晩餐会でのスピーチにおいて、今後の日米関係では、インフラ、防衛、外交等様々な分野で協力を発展させたいと述べる中で、新技術開発と宇宙(new frontiers of technology, space)を挙げた。天皇陛下のお言葉でも、ご自身の米国との出会いの思い出として1970年の万博でご覧になった「月の石」や「リンドバーグ飛行士」に触れられた。人類の新たな挑戦として、「月や火星に人を送る」ことを米国は計画している。NASAとJAXAの協力は既に始まっている。日米協力の裾野は広い。

  
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