中東を読み解く

2019年8月2日

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 複数の米メディアによると、国際テロ組織アルカイダの次期指導者として取り沙汰されてきたハムザ・ビンラディンが殺害されたことが明らかになった。ハムザは米中枢同時テロ9・11を起こしたアルカイダの創設者オサマ・ビンラディンの息子。ハムザは“若き獅子”として次世代の指導者と目されていただけにアルカイダにとっては壊滅的打撃と見られている。

(IndiaUniform/gettyimages)

謎に包まれた殺害の詳細

 ハムザの殺害を7月31日、最初に特ダネとして報じたのはNBC放送。ニューヨーク・タイムズ紙など各メディアが後追いした。同紙によると、ハムザが殺害された確定的な日時や場所などは一切不明だ。米国務省は今年2月末、ハムザに100万ドルの賞金を懸けたが、複数の当局者によると、賞金が懸けられる前にすでに殺害されていたという。

 トランプ大統領は同日、この報道に対するコメントを拒んだ。当局者らは米国がハムザ殺害作戦に関与したことは認めたものの、米軍単独の作戦だったのか、他の国との共同作戦だったのかなども明らかではない。ハムザの潜伏先として、憶測を呼んでいたのは、アフガニスタンとパキスタンとの国境の部族地帯ワジリスタン地域だ。

 アナリストらはハムザが米軍の無人機による空爆によって殺害された可能性が最も高いと指摘した。アフガニスタンやパキスタンでは、アルカイダ残党の掃討作戦を展開する米武装無人機が常時活動しており、ハムザの12歳になる息子も2016年夏に空爆で殺害されたという。ハムザを狙った攻撃の巻き添えを食ったと見られている。

 ハムザの死亡については、当のアルカイダも沈黙。ハムザ自身からの発信もここ数カ月途絶えている。アルカイダの宣伝機関からこの5月、ハムザについての記事が出されただけで、動向は不明。専門家は「アルカイダは組織の一員が殺害された場合、神への殉教者として宣伝するが、それが一切ないのは異例。それだけ衝撃が大きいのかもしれない」と指摘している。

 ハムザは9・11の首謀者として伝説的な存在になっていたオサマ・ビンラディンが2011年、パキスタンのアボタバードで米海軍特殊部隊「シールズ6」に殺害された後、将来の指導者として浮上した。オサマ・ビンラディンの後を継いだ現指導者のアイマン・ザワヒリが2015年、アルカイダの“若き獅子”と紹介、世界的な注目を浴びるようになった。現在30歳前後。

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