Wedge REPORT

2019年9月9日

»著者プロフィール

 相変わらずのドタバタだ。阪神タイガースのヤンハービス・ソラ―テ内野手が今季終了を待たずして、契約解除される見通しとなった。6日の敵地・広島東洋カープ戦に一軍昇格のため、マツダスタジアムへ招集されたものの「モチベーションが上がらない」と首脳陣に訴えて当日中に早々と帰阪。前代未聞の一軍昇格拒否に阪神側の怒りは収まっておらず、代理人サイドとの話し合いの末に近々にも解雇されることになりそうだ。 

(Gazometr/gettyimages)

 それにしてもチームにとってはタイミングが悪い。9日現在でリーグ4位、借金は4。ここから何とかCS(クライマックス・シリーズ)出場権を得るAクラス入りを狙うためにも、リーグ3位・広島との直接対決は1つも落としたくない重要なカードだったはずだ。その大事な広島3連戦の初戦直前に不祥事は起こり、結局チームはこのカードを1勝2敗で負け越してしまった。

 これで広島とのゲーム差は3・5に広がり、それどころか5位の中日ドラゴンズと0・5差にまで急接近を許す有様でAクラス入りどころか〝ブービー転落〟まで現実味を帯びてきた。笛吹けど踊らず――。

 助っ人の造反騒動がチーム全体を不穏なムードへと誘い、全体の士気にも悪影響を及ぼしてしまった可能性は当然否定できない。

 ソラ―テは今季途中の緊急補強で7月21日に来日したばかり。米メジャーリーグで通算75本塁打を誇る強打のスイッチヒッター、さらに二、三塁を中心に内野すべてと外野の守備経験もあるユーティリティープレーヤーとして当初は逆転Vの救世主とまで持ち上げられていた。

 ところが1カ月も経たないうちに8月18日の巨人戦を最後に二軍へ降格。この時点で打率は2割を切るなど打撃不振にあえいでいたが、チーム周辺では「そもそも起用法に問題があったのではないか」との指摘もささやかれていたのも事実だ。

 阪神OBの1人も次のように指摘し、首をかしげる。

 「ユーティリティープレーヤーと言われているが、シーズン途中から獲得した外国人選手なのにショートやセカンド、一塁、それにレフトとこれだけのポジションを守らせていたのだから、いくらなんでも首脳陣はたらい回しにし過ぎ。一軍でのプレーが1カ月にも満たない緊急補強の助っ人にこれほどの数のポジションをいきなり守らせ、しかも1試合のうちに複数の守備位置変更をさせていたこともレアケースといえます。

 打順も下位からクリーンアップ、2番に至るまで上げ下げさせていたのだから初めてプレーする日本の野球にソラーテは慣れるどころか戸惑っていたはずです。ソラ―テに対する扱いが、かなり〝ぞんざい〟だった感はどうしても否めない。打率をみれば確かに良くないが、この短期間で本塁打を4本も放っているところには片鱗ものぞかせていた。それだけに球団フロントと現場はもっと扱い方を熟慮すべきだったような気がしてならない」

 実際にメジャーリーグの複数の筋からの情報として「ソラ―テは過去にメンタルの面ですでに克服済みの〝問題〟を抱えていたこともあった」とも聞く。すでにネット上でも広まっているが、いわゆる「うつ病」だ。実績は十分だが非常に繊細な性格の持ち主でデリケートな選手であることもささやかれているだけに、果たして阪神側のケアやサポートの体制は本当に万全だったのかとも考えさせられる。

 もちろん、だからといってソラ―テの〝造反〟は許されるべきことではないだろう。しかしながら異国の地でかなり〝ぞんざい〟な起用法をされた挙句、夏場の炎天下でファーム調整を強いられれば元メジャーリーガーのプライドも大きく傷ついて気持ちが腐ってしまっても不思議はない。

 そういう状況に陥った選手をしっかりとカウンセリングし、チームにフィットできる体制を整えていくことも今のタイガースには必要なのではないだろうか。「このようなことを許してはチームは成り立たない」という球団側の主張はもっともだが、それだけで終わらせてしまうのは一方的な気がする。

関連記事

新着記事

»もっと見る