世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月27日

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 米スチムソン研究所の名誉所長兼アジア・宇宙安全保障プログラム主任のMichael Kreponが、8月18日付ワシントン・ポスト紙に掲載の論説で、米中間で宇宙空間の管理を開始する潮時に来ており、それは、宇宙ゴミの規制から手をつけるべきだ、と論じています。

 すなわち、かつて1960年代末、米ソがそうであったように、米中も軍縮の話し合いを始める潮時にあるが、核兵器では米国が絶対的優位なので交渉対象とせず、宇宙空間に対象を絞るべきだ。

 しかし、「宇宙配備兵器」は定義と査察が難しいので、これらを規制することは考えない。中国は、まさに、この査察不可能の漠然とした宇宙兵器禁止条約締結を提唱しており、ロシアは中国を支持していたが、最近ではよりプラグマチックな方向に転換中だ。

 したがって、当面は、2009年2月に、機能を停止したロシアの衛星が米国の通信衛星と衝突した事故のような、衛星の破片等の衝突を防ぐための行動規範を作ることを目標として話し合いを始めるべきだ、と述べています。

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 米中に宇宙軍備管理交渉を呼びかけるという本件論調が、現在のワシントンの雰囲気をどの程度反映しているかは分かりませんが、WPに掲載されているので、無視することはできないでしょう。

 米ソの戦略兵器削減交渉(SALT)のそもそもを想起してみると、これは1960年代後半ジョンソン大統領時代からのアイデアのようで、当時米国はベトナム戦争、ソ連は1968年に始まった「プラハの春」、そして国内ではブレジネフとコスイギンの間の経済路線対立に悩まされていました。軍備の限りない拡大を抑えるインセンティブは、米ソ双方にあったと言えます。また、1971年にキッシンジャーが訪中し中国との関係を確立したことは、ソ連に対する圧力となった、という経緯もあります。

 当時の米ソと比べると、現在の米中は経済相互依存の緊密度で比べ物にならず、話し合いのチャンネル、信頼醸成ははるかに進んでいます。上記の米ソの場合と比べてみると、米軍は全体に優位にあり、アフガニスタンからの撤退にも筋道をつけつつあり、経済は再活性化の方向にあります。

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