山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2012年12月4日

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 ふと、秋のニューヨークに行ってみたくなった。JR東海の「そうだ京都、行こう」のキャッチコピーの感覚である。昔、放浪の旅に出てカリフォルニアで1年ほど働いていたことがある。その1972年の晩秋、3日間でロサンゼルスからニューヨークまで横断した記憶が強烈に残っている。今回、久々に文化的なアメリカを楽しむことに目的を絞り込んでニューヨークに乗り込んだ。

 10年以上、毎年アメリカのチタン国際会議に出席しているが、今年はアトランタで会議があって帰りのフライトがニューヨークになった。ストップオーバーなので短時間でメトロポリタン美術館とセントラルパークとミュージカルだけを見ることにした。

 セントラルパークに近いホテルで仮眠をとってから、早速メトロポリタン美術館を訪問した。メトロポリタン美術館は実は私営の施設でその経営は寄付で成り立っているらしい。入場料を払う際に「料金は寄付で結構です」といわれた。早い話が貧乏学生なら1ドルでも何ドルでも良いのである。確かに料金表の下に「Admission Recommended Adults US$25」と書いてあったのでとりあえず25ドルを払って入った。

 アメリカの寄付金制度は人の善意を上手く生かすように設計されている。成功した人は富を社会に還元するのは当然だという考え方だが、実は幅広い分野への寄付金が所得控除として認められているので世界最大規模のメトロポリタン美術館も国営ではなく寄付金で運営できるのだ。

 この富める者が貧しいものに施しをするという考え方のベースはキリスト教にある。ボランティアなど奉仕活動が社会に定着しているのも同じ理由だ。また寄付をしなければ税金でごっそり持って行かれるから、どうせ払うなら自分の好きな分野の役に立ったほうが得だという発想もあるようだ。

寄付で税金の無駄を省く

 いずれにしてもアメリカの寄付金総額は日本の寄付金総額の100倍以上になるらしく、個人比較では日本の2189億円に対してアメリカのそれは22兆9920億円という。これは両国の文化による考え方の違いもあるが、それだけで100倍の差が出るわけはない。やはりこれは税制がしっかりしているのが最大の理由なのだろう。

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