2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月27日

 WSJ、FT両紙ともに、胡錦濤が中央軍事委員会の職から去ったことに着目して、習近平の立場が従来の継承者より強い点を指摘し、権力固めに成功したことを指摘する一方、だからと言って、アングロサクソン的改革への期待に応えるかどうかは未知数であると判断している。そして、FTは、新政権の求めるところは、共産党一党支配の継続と考えた方が良い、と過剰期待を戒め、WSJは、ゴルバチョフ的改革を促すものは経済、政治の行き詰まりであろう、と予測しています。

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 両紙の分析とも、今後の中国に関して、参考になるバランスの取れたものです。

 たしかに、今回の人事が決着を見るまでの過程では、従来なら9月までに決まっている日程等がなかなか決まらなかったなど、内部で少なからぬ摩擦があったことは推測できますが、決着してみれば、胡錦濤は中央軍事委員会から退き、常務委員会の定員を七人にする改革も実現し、習近平が権力を行使し易い形となっていることは否定し難いことです。

 なお、中国の経済、政治の行き詰まりの見通しについては、従来は、共産党の一党支配は強靭であり、経済もまだ成長余力があるので、一時の経済の後退はあってもまた回復してくる可能性があることを指摘してきましたが、夏の薄煕来事件による党のイメージの失墜以来、次の経済危機に早くも政権に危機が訪れる可能性も考えられるようになって来ています。


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