2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月27日

 11月15日付米Wall Street Journal紙(WSJ)の社説には、中国は、中国共産党第18回大会で正式に決定された新陣営の下で、改革が出来るかどうかはわからないが、真の変化は、1980年代のソ連のように、経済の行き詰まりによって起きるのであろう、と書かれています。また、同日付英Financial Times紙(FT)の社説には、習近平の言動のスタイルには改革の希望を持たせるものもあるが、王洋のような改革派は除外されているので、究極の目的は共産党支配の継続であろう、と記されています。

 すなわち、WSJによると、鄧小平は、江沢民と胡錦濤の二人に権力を継がせ、以後この二つの間の権力闘争があったが、今回の人事では、習近平をはじめ江沢民系が優位を占めた模様である。したがって、習近平は、久々に、経済改革を進めるフリー・ハンドを得たとも言える。しかし、それはまた、冒険主義や腐敗に走る危険も伴っている。

 中国では、指導者のイデオロギーよりも、共産党の支配を続けようという体制維持の力の方が強い。それは今回の時代錯誤的な政権交代劇によっても示されている。中国における本当の変化は、1980年代のソ連のように、経済と政治が行き詰った時に起こるのであろう、と言うことです。

 FTによると、従来の慣例に反して、胡錦濤は中央軍事委員会のポストを習近平に譲り渡した。来年3月には,習近平は、国家主席となり、スムースに権力を掌握できる。また、政治局常任委員の数も減って、より動き易くなった。しかし、これで改革を期待して良いかどうか分らない。王洋などの改革派の名は今回のリストから洩れている。

 いずれにしても、新体制は、経済、環境、近隣諸国との関係など、これまでにない数々の難問に対処しなければならない。

 習近平に期待して良いかどうかはわからない。彼の最終的目標は、彼の前任者と同じく、共産党の一党支配を続けることにあると考えた方が安全かもしれない、と言うことです。


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