2024年4月27日(土)

ペットビジネス最前線

2013年2月28日

 この例は、一般的になってきた犬の飼育市場において、販売力が振るわない犬種に対する顧客のネガティブ意識(お金がかかる面倒くさい手入れ)をポジティブ意識(おしゃれでかわいいスタイリング)に変えて成功した事例だと言えるでしょう。

トリマーの厳しい現状

 トリマーという職種はペット業界での仕事を希望する人達にとって人気の職種です。定期的な利用を見込めること、技術的な要素が多いため比較的経費が少なく済むことなどから、これから社会人になろうとする世代だけではなく、転職・脱サラなどを考えている層までもがその技術を習得する道を選んでいます。一種の技術職であるため、昔はショーブリーダーやハンドラーの元で修業を積み、技術を習得する徒弟制が通常でした。最近では基礎を教えるための動物系専門学校も増え、学校で基礎を学んでから職場で技術を伸ばすという方法が主流のようです。どちらにしても一人前の職人になる為には相当な努力が必要であることに変わりはありません。

 トリマーの就職先としては、専門店であるトリミングサロンや、サロンを併設しているペットショップや動物病院が挙げられます。前述の通りトリマーは技術職ですので、一人前と認められるまでは職場での待遇や給与面で十分な保障はありません。また一人前となっても、雇われて働いているかぎり十分ではない場合が多く見受けられます。ペット業界全般にいえることですが、社会的な保障を完備した雇用先が少ないからです。

 また、地域内における同業者の増加で経営的な負担が増加している例も少なくありません。そのため、技術を身につけ一人前となったトリマーの多くは独立の道を選択します。せっかく育てても、お店や会社から離れてしまうのです。独立開業と言っても、それなりの店を構える資金が無い場合、自宅での開業や出張形態での開業となるケースが多く、これが地域での価格競争や顧客の取り合いに繋がる例が多くなっているようです。

 このような状況はトリミングを併設している店舗の場合、本業での収益があるためあまり問題視されない場合もありますが、専門店であるサロンなどでは致命的な問題となります。差別化のため、トリマーたちの挑戦が行われています。

ファッション業としてのトリミング

 トリミング(グルーミング)の趣旨はペットの健康を守るための手入れから始まっています。しかし現在ではファッションとしての需要が多いという面もあります。トリマーではなくスタイリストとしてその展開を行っているお店があります。

 http://dog-beauty.jp/salon/?shop_id=37

 http://profile.ameba.jp/galleryartesta/

 オーナーは人間のスタイリストとしても活躍、いわゆるカリスマの腕を持つ方です。ペットとして犬を飼い始めたことからトリミングの世界を知り、自らの技術の可能性を感じて起業しました。


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