近頃ペットとして人気の高い犬種といえば、ミニチュアダックスフント・トイプードル・チワワという3犬種があげられます。チワワは某金融会社のテレビコマーシャルが引き金となり一世を風靡しました。ダックスフントは、サイズ・毛質が3種類、それにカラーや模様が豊富なため、「うちの子だけ!」というオリジナル感が人気を呼び、ロングセラーとなっています。トイプードルはその聡明さと、まるで着せ替えでもするようなトリミングによる外観の変化を楽しめるので人気となっています。
「テディーベアみたいにして下さい!」「今回はモヒカンスタイルで!」など、飼い主の要望に合わせてカットを行う、トリマー達の腕の見せ所です。
トイプードルを人気犬種に押し上げたトリマーの腕
ペット業界にはグルーマーやトリマーと呼ばれる職種があります。ペットである犬や猫の健康を保つために、体毛や爪、耳の中などの手入れを行うことを総称してグルーミングと呼びます。犬の場合、その使用目的(狩猟など)による犬種の特徴を発揮させるための形に、皮毛をカットしたり抜いたりして整えることをトリミングと呼んでいます。人間でいえば理容師・美容師と同様の職種です。
前述のトイプードル人気に関しては、トリマーの業績と言える部分が大きくあります。とあるトリマーが茶色(レッドという毛色)のプードルを、ヌイグルミのテディーベアを意識してカットしたところ、その可愛さが評判を呼び人気犬種となりました。それまでのペット業界では、トイプードルというとカラーは白・黒・シルバーが主流で、カットもパピー・コンチネンタル・イングリッシュサドルと呼ばれる、いわゆるドッグショー向けのスタイルが王道とされていました。
このスタイルを維持するためには、日頃からの入念な手入れが必要となります。そのため一般の飼い主達の間ではあまり受け入れられませんでした。プードル = 手入れが大変、お金がかかると認識されており、流行とは程遠いニッチな犬種と言われ続けていました。また、プードル本来の狩猟犬としての特徴付けのためのスタイルは、家庭犬として迎え入れたい一般的な飼い主の嗜好には合わなかった面もあるようです。
テディベアカットはそれまでの既成概念を取り除いたことで消費者意識を一気に変え、売上を一気に伸ばしました。人間が髪形を変えるように、ペットにもそのスタイルを変化させ楽しむという新たな価値観をトリミングというサービスに生み出すきっかけにもなりました。