健康産業として
トリミング業界の転換
一見オシャレで華やかなイメージをもつトリマーという職種ですが、実際はペット業界における3Kの原則通りその実情はまだまだ過酷な面を多く持っています。業として存続するためには、トリミングに対する社会的な地位向上はもちろんのこと、従事する人の生活の安定が必要と考えられます。技術や知識を顧客にどう結び付けるかで、業としての将来性が見えてきます。
前述のファッション業としての転換も一つの方法ですが、注目したいのがトリマーの健康産業への転換です。
語弊のある言い方かもしれませんが、ペットの健康を支える、飼い主のアドバイザーとしての役割を重視するべきと考えます。職種がらペットの体に直接触れ、全身の状態を確認しますので、ちょっとした体の異変などを見つけるのはトリマーです。事実動物病院などでも、トリミング中に病態が見つかる例は少なくありません。また従事する人材の多くは、動物の飼育も経験している場合が多く、飼育に関する基本的なスキルをも兼ね備えています。現在でも多くのトリミングサロンでは、フードやサプリメントなどを扱っていますし、健康のアドバイスも行っています。この職種はペットの健康を維持するアドバイザーの要素を多く持っているのです。
しかし未だこの事実は社会的に認知されるには至っておらず、有効な公的資格なども備わっていません。業界全体としての取り組みが期待されます。
そういえば、床屋さんの看板にある白・赤・青のくるくる回る看板。あれはそれぞれ包帯・動脈・静脈を表し、散髪は医療行為の一部だったんだよということを思い出しました。中医の世界でも、髪の毛は血の余り(血余)と考えて、その状態から健康状態を見るのだそうです。毛に関わる仕事と健康に関する仕事の因果を改めて考えることも面白いと思うのです。
(写真提供:筆者)
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