世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月6日

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 米外交評議会のエネルギー・環境問題の専門家マイケル・レヴィ(Michael Levi)が、フォーリン・アフェアーズ誌5-6月号で、アメリカのエネルギー革命について、競合関係にある、原油および天然ガス生産の増大、再生可能エネルギーの生産急増、自動車の燃費の減少の間の調整は容易ではなく、大統領の指導力が期待される、と論じています。

 すなわち、アメリカではエネルギー革命が起こっている。しかし、それは今までのように一種類のエネルギーや技術の進歩によるものではない。

 1985年以来20年間減少していたアメリカの原油生産は4年続けて増大し、2012年には新記録を達成した。また2011年には、天然ガス生産が石炭を上回った。ところが、再生可能エネルギーはそれによって減少するどころか、2008年より倍増している。また、自動車の燃費は削減され、2005年より10%減っている。

 エネルギー革命は米国を二つの陣営に分けてしまった。片方は、再生可能エネルギーや、自動車の燃費改善に対する政府の補助などは余計な経費だと考え、もう一方は、石油やガスの生産促進は、環境を脅かし、クリーン・エネルギーの開発を妨げるという立場である。

 したがって今後、努力の中心課題は、異なるエネルギーを推進している人々のグループの間で、協力とまで行かなくても、戦いをやめさせることにある。

 もし天然ガスが、温暖化を解決できるのならば、再生可能エネルギーに対する政府の援助などは無駄遣いとなる。しかし、たしかに石炭でなく天然ガスを使えば、CO2排出量を半減できるが、それでは地球温暖化をとめることはできない。やはり、原子力か再生可能エネルギーに頼らざるを得ない。

 2008年と2012年の間に、太陽光発電のコストは80%削減された。それでも、石炭から天然ガスへの転換の方が安い。自動車の燃費の削減は、たしかに目覚ましいものがあるが、石油の消費全体に対する影響はそれほど大きくない。

 天然ガスは、現在では、他のいかなる再生可能エネルギーよりも石炭の消費を減らす効果がある。それはCO2削減には大きな効果があろう。しかし、CO2は何時かはゼロに削減されねばならない。天然ガスは再生可能エネルギー開発を阻害することになる。

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