2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月24日

 しかし、「一つの中国」といっても色々な内容があり得ます。90年代初頭、両岸対話が始まったころは、「一つの中国」の解釈は中国台湾それぞれに任せるという妥協案もあり、当時李登輝総統も、英連邦内の国家関係になぞらえたこともあったと記憶します。また、多くのアラブ諸国が「アラブは一つ」を憲法に掲げていたこともありましたが、それは、あくまでも理念的、観念的なものにとどまります。政治的妥協と言っても、最大限行って、せいぜいそこまでであり、そこまですら、なかなか行かないと予想されます。

 そして、中国経済の見通しが不明確であり、この後、中台相互依存が今のテンポで深まるとは、誰も予想できません。

 さらに、より大きな流れとして、21世紀の最大の国際的課題は、中国の勃興による力の均衡の変化に如何に対応するかにあり、それは、戦略的には、自由民主主義陣営側による台湾の現状維持保存を支持することが、国際戦略関係者のコンセンサスとなる可能性は、十分大きいと思います。

 現在のオバマ政権の下では、今直ちに、その方向に動くとは予想されませんが、あるいは、短期的に何らかの希望が持てるとすれば、6月の米中首脳会談が失敗に終わったことが、今後、オバマ政権にとって、教訓として残ることになるかもしれません。

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