World Energy Watch

2013年8月13日

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 オバマ大統領は3月には環境保護庁長官に州、連邦政府の環境関連役職を歴任してきたジーナ・マッカーシー長官補を指名したが、上院共和党議員から規制の在り方を中心に1000を超える質問を受ける事態となった。結局、7月18日に上院は承認したが、新長官は「気候変動問題に取り組むことにより経済成長を図ることが可能」との立場を取っている。

 国務長官、エネルギー省長官、環境保護庁長官を気候変動対策推進派で固めて、国務長官を通し中国も巻き込んだのはオバマ大統領の戦略だ。

オバマ大統領の気候変動対策は「石炭に対する戦争」

 オバマ大統領はスピーチのなかで再生可能エネルギー、エネルギー効率など様々な施策に言及しているが、米国のマスコミが大きく取り上げたのは「石炭に対する戦争」だ。米国の二酸化炭素排出量の約3分の1を占める石炭火力発電所からの二酸化炭素の排出削減に環境保護庁の規制を利用する大統領の方策がそう呼ばれているものだ、

 大統領は石油の輸入が減少し、天然ガスの生産量が世界一になったことに触れ「二酸化炭素の排出量がこの20年間で最低になった」と自讃している。その上で、大気浄化法の改正により酸性雨が減少した実例をあげ、「環境保護庁に新設及び既存の発電所からの二酸化炭素排出削減策を検討するように指示した」と述べている。ここでは石炭とは言っていないが、「天然ガスへの切り替えにより成功した例がある」と言及しており石炭火力が対象となっているのは明白だ。

 さらに他国が天然ガスに移行するのを助けるために、米国の産業界の技術とノウハウの提供にも触れている。その上で、米国の公的資金の提供を、二酸化炭素の地下貯留(CCS)設備を持たない石炭火力発電所建設向けには中止し、他国にも同様の措置を取るように呼びかけている。

二酸化炭素削減を
電気料金の値上げなしに行えるのか

 たまたま第1期の任期開始と同時にシェールガスの本格生産が始まり、電力業界を中心に石炭から天然ガスへのシフトにより二酸化炭素が減少したことと、リーマンショックによる景気低迷が同時期に発生したため、オバマ大統領の任期中米国の二酸化炭素排出量は減少している。天然ガス価格が下落したために、電気料金も上がっていない。シェールガス革命の恩恵だが、今後も二酸化炭素の削減を電気料金の値上げなしに行おうとの大統領の発想には落とし穴がある。

 大統領の指示を受け、環境保護庁は新設火力の二酸化炭素排出規制案を今年9月20日までに、既存発電所についての規制草案を来年6月までにまとめることになっている。産炭州、石炭会社からは規制に関し多くの反対の声が上がり、産炭州の州知事、議員がマッカーシー長官に面談し規制の方法について申し入れを行う事態にもなっている。

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