2024年4月26日(金)

うつ病蔓延時代への処方箋

2013年8月29日

 遺伝的に発達障害を持つ人は少数派ですので、社会の中でズレが生じ、認められない存在になっていく。これが就職できない、友達を作れない、馬鹿にされることが多くなるなどの状況を作ってしまう。こうなるとうつ症状へ陥る原因になります。発達障害の人の中には、受動的、孤立的な人もいます。この場合は、うつ症状と見間違われるケースもあるので、根本的な問題解決にはつながりません。

知識をもてば理解しやすい
発達障害者の不可思議な行動

 ――子どもの頃は、大半が自分勝手です。それが年齢とともに社会性が芽生えてくる。それでも社会人になってからもコミュニケーションをとるのが苦手な人、どうしても人の気持ちを考えない人はいます。発達障害と診断されたわけではありません。先ほど伺った、時と場所により症状が出るということなのでしょうか。それとも程度の問題で、誰でも発達障害的な要素があるということでしょうか。

鈴木:ケース・バイ・ケースであり、断定的に話せることではありません。ただ、発達障害と診断されている人は絶対数としては少なく、“それっぽい”人は圧倒的に多いということは言えます。発達障害の知識をもっていれば、どうも“それっぽい”な、と感じたとき、その人の不可思議な行動が理解しやすくなり、物事に対して動じなくなります。これが重要なことだと思います。

 ――企業取材で人事担当者から、うつ病で休職する人や発達障害でチームワークを乱してしまう人は辞めて欲しい、という本音を聞くことがあります。

鈴木:発達障害の人を受け入れる鍵は3つあります。働く場を構造化し、適した仕事を与え、パフォーマンスに見合う待遇をすることです。これらができる会社は適材適所のできている強い会社だと思います。こうした企業は上手に発達障害の特性を活用できる可能性があります。

 いい意味でトップダウンは必要です。仕事を割り振り、限られた情報のやり取りをすれば混乱することはなく発達障害の人も使えるはず。ところが、近年の日本は余裕が無くなっているのも事実です。人を最小限に配置し、以前よりも多い仕事量をこなさなくてはいけない。この状態では、ついていけない人が増え、発達障害のカットオフ・ポイントが高まっていく。だから発達障害者が増えてしまう。これは職場うつが増えている状況と同じです。


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