2024年4月26日(金)

田部康喜のTV読本

2013年9月18日

 江角が演じる主人公のゆみ子は、生後3カ月の息子を抱えて、夫が自殺してシングルマザーになる。住んでいた大阪から、大家の世話で、石川県輪島市の海辺の地区に住む男と再婚する。新しい土地になれていき、夫婦とふたりの子どもとの生活も順調に過ぎていく。裸の夫との膝に上半身をさらした、江角が背中向きにからだをあずけるシーンは、窓越しの夏の日本海の夕方の光に照らしだされて美しい。ゆみ子はしだいに、前の夫がなぜ自殺したのか、その理由がわからない不安にさいなまれていく。

企業の「いま」を撃ってこそ

 「ショムニ」の新シリーズは、第3回から前回まで観た。同じ時間帯に、日本テレビが「Woman」(満島ひかり主演)を放映しているので、毎週どちらかが録画鑑賞となった。シングルマザーを主人公にした後者については、心にしみ透るような映像とセリフの数々について、このコラムのシリーズで、すでに取り上げた。

 ショムニはこのドラマとは、まったく趣を異にする。登場人物たちは、その演技と表情が徹底的に誇張されている。美貌の女優陣たちがめまぐるしく動き回り、そのセリフは大仰である。千夏(江角マキコ)のライバル役の壇上みきを演じる片瀬那奈は、この番組を観ることによってその美しさを知った。さらにその部下に3人の「キラキラガールズ」までいる。

 企業社会の「いま」を撃ってこそ、視聴者のこころをつかむ。「ショムニ」には、その「いま」が微妙にずれていたのではなかったか。

 サラリーパーソンのドラマには、所属する企業が取り組むプロジェクトに主人公がからんで、奮戦する様が描かれるのは定石である。ブライダル産業とハンバーガーチェーンというのはどうか。部下と飲むことによって、コミュニケーションを図るのが一番と思っている部長とその部下のずれ、コンプライアンスのいきすぎによる業務の停滞……多くの企業ですでに、乗り越える手法や仕組みづくりがおこなわれている。

江角マキコの才能を
テレビはどう引き出すか

 フジテレビの社長に就任して間がない、亀山千広は産経新聞のインタビューに答えて次のように述べている。


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