2024年4月26日(金)

中国メディアは何を報じているか

2013年10月15日

習近平支持を超えた自己主張

 CEO会議での演説で習近平は「改革は深い革命であり、重大な利益関係の調整に及び、各方面の体制メカニズムの完成に及ぶ」、「中国が現在、改革を全面的に深める総合計画を策定中で、経済、政治、文化、社会、生態文明建設などの領域の改革を統一的に計画して推進し、改革を通じて経済発展に新たな原動力もたらさなければならない」と述べ、改革に積極的な姿勢を示した。評論部の文章はこの習近平の発言を支持する内容となっており、『人民日報』ではよくあるパターンである。

 しかし、興味深い支持の仕方を見せている。まず、この文章、この連載が、18期3中全会への期待感の表明であることを隠していないことである。しかも大きな成果を上げた改革・開放、南巡講話並みの改革への決意が表明されることを期待していることは、習近平の代名詞である「復興の道」を鄧小平の代名詞である「改革・開放」と並び称していることにも表れている。

 さらに、この文章は山積する問題が多いことを指摘しながらも、改革によって困難を乗り越えていくことができるとの楽観的な見通しを示している。

 民主化や自由化を想定した「改革」を支持、主張する文章が今の『人民日報』に掲載されることはあり得ない。だから『人民日報』に掲載される文章に意味がないと一蹴することもできる。しかし、民主化や自由化を圏外に置く「改革」にも、毛沢東に代表されるような保守的な改革もあれば、鄧小平に代表されるような積極的な改革もあり、そのウイングは広い。

 この文章は習近平支持の形式をとりながら、習近平支持を超えた評論部独自の改革への大きな期待感を示したものといえる。もちろんこれが『人民日報』の総意というわけではない。議論は私たちが思っているよりも自由なのだ。

18期3中全会の政策文書の行方

 18期3中全会での政策文書がどのようなものになるか注目されている。習近平が「改革を全面的に深める総合計画を策定中で、経済、政治、文化、社会、生態文明建設などの領域の改革」と発言したことで、胡錦濤が総書記就任から1年後の2003年に開かれた第16期3中全会の40個近い改革項目を羅列したのと同様の形式になるものと思われる。

 しかし、これも習近平が明らかにしたように、18期3中全会で採択される政策文書はまだ現在策定中である。それ故にさまざまな論争が繰り広げられているだろうことは想像に難くない。そうしたことが推測できるだけでも、この評論部の文章の掲載には意味があるし、連載の今後にも期待したい。

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