2024年5月9日(木)

バイデンのアメリカ

2024年1月11日

バイデン政権の「成績」

 そこで今、バイデン大統領の過去3年余りの実績を振り返りつつ、各項目の答えが「イエス」か「ノー」かについて、以下に筆者の主観も交え吟味していくことにする:

①2022年と18年の中間選挙における民主党の下院議席数を比較すると、18年には235議席で多数を制したが、22年では213議席に減らした。従って、答えは「ノー」

②今年の大統領選の民主党予備選でバイデン氏以外のまともな対立候補はおらず、答えは「イエス」

③バイデン大統領が再選をめざしており、答えは「イエス」

④与党候補(バイデン氏)に立ちはだかる有力な第三政党、無党派候補がおらず、答えは「イエス」

⑤直近経済状況は「好調」だが、今後11月にかけて「軟着陸」できるか「不況」に陥るかは予想できず、現段階では答えは「不明」

⑥長期的経済展望についても、専門家の意見が分かれるため、答えは「不明」

⑦バイデン政権発足以来、内政では、1兆2000億ドルと思い切った「インフラ投資拡大」法案を成立させ、コロナ不況からの脱却と景気回復に弾みをつけたほか、米国史上最大となる3690億ドル規模の太陽エネルギー、風力利用など気候変動関連技術投資に乗り出した。外交面ではアフガン戦争終結、トランプ前政権下で動揺した北大西洋条約機構(NATO)との関係修復など、大胆な政策変更を行った。答えは「イエス」

⑧深刻な人種間暴動、中南米諸国からの不法移民大規模流入による目立った社会不安はこれまでのところ存在せず、答えは「イエス」

⑨バイデン大統領は、次男が脱税、麻薬不法所持などの容疑で起訴対象とされているものの、同政権自体を巻き込んだ大きなスキャンダルは存在しない。答えは「イエス」

➉バイデン政権はロシアによるウクライナ戦争、パレスチナ・ガザ地区におけるイスラエル・ハマス間紛争の対応に苦慮しているものの、これまでのところ、米国の外交・安全保障政策上の大きな失態は露呈していない。答えは「イエス」

⑪バイデン政権は発足以来、同盟関係の再構築、前政権が脱退した「パリ協定」への復帰などの外交・安全保障面である程度の成果を挙げてきたものの、「顕著な成功」を収めたとは言い難い。答えは「ノー」

⑫与党候補バイデン氏は、大統領として比較的安定した政権運営を行っているが、カリスマ性があるとは言えず、国民的英雄ともみられていない。答えは「ノー」

⑬対立候補のトランプ氏は、国民的英雄からは程遠いが、強烈な性格の持ち主であり、良し悪しは別としてカリスマ性はあるといえるだろう。答えは「ノー」

 以上の結果はもちろん、筆者自身の判断に基づくものであり、それぞれの項目について読者によっては異論があるだろう。

 ただ、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルなど米国の有力紙のコラムニストの多くもほぼ同様の評価を下している。


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