去る1984年から直近2020年まで過去9回にわたる米大統領選の結果すべてを的中させたことで知られるベテラン歴史学者のユニークな予測モデルが、今年11月5日に控えた選挙でも再び脚光を浴び始めている。
選挙の決め手は演説や公約ではない
「American University」(在ワシントン)のアラン・リクトマン教授は去る1981年、地震予測に数理学的データを駆使したロシア人地質学者ウラジミール・ケリス・ボロク博士の協力を得て、「ホワイトハウスへの13のカギ(13 Keys to the White House)」と呼ばれる米大統領選当選者予測の〝ガイドライン〟を開発した。
リクトマン教授は開発に際し、1860年から1980年の120年間のすべての大統領選データと結果を詳細にわたり分析、勝敗の決め手となった要因を綿密に追跡した。
そしてその結果として、「有権者は実際は候補者の選挙期間中の演説や公約にさして影響されず、(再選めざす)現職大統領の実績いかんで票を投じる」、さらに「もし、現職大統領が出馬せず、同じ党から新たな候補者が指名された場合、在任中の失政が大きなマイナス要因となる」との結論を導き出した。
注目される「13のカギ」の具体的項目は以下の通りだ:
① 選挙年前年の中間選挙で与党は(4年前との比較で)下院議席増となった
② 大統領以外に与党内にまともな挑戦者がおらず、本格的予備選が行われない
③ 現職大統領が再選めざす選挙である
④ 与党候補以外に真っ向から挑戦できる第三政党または無党派候補がいない
⑤ 選挙期間中の国内経済状況は「堅調」を維持しているか「景気後退」を免れている
⑥ 長期的経済展望も力強い
⑦ 現政権下で顕著な国家政策の変更が行われた
⑧ 現政権下において長びく社会不安が存在しない
⑨ 現政権が直面する主だったスキャンダルが存在しない
⑩ 外交・軍事政策においても際立った失態はない
⑪ 外交・軍事面において大きな成功を収めた
⑫ 政権与党がカリスマ性のある、国民的英雄の候補を擁している
⑬ 野党候補者はカリスマ性もなく、国民的英雄でもない
リクトマン教授の理論によれば、上記「13のカギ」の各項目を、現職大統領候補(今年の場合、バイデン氏)にあてはめ、答えが「ノー」と判断される項目が6つ以上あれば敗退、5つ以下にとどまった場合は再選されると断じている。