今年11月の米大統領選は、再選めざすジョー・バイデン大統領(民主党)とドナルド・トランプ前大統領(共和党)との一騎打ちの公算が濃厚となってきた。現時点での勝敗予測は時期尚早だが、今後の判断材料として、4つの要因に注目していく必要がある。
予測しにくい有権者の動き
米有力メディアの直近世論調査では、いずれも、トランプ氏優勢が伝えられている。
しかし、投票日まで11カ月近くも残した時点でのこうした一般有権者を対象とした世論調査があまり意味を持たないことは、過去の大統領選が物語っている。
例を挙げれば、1980年のロナルド・レーガン(共和)対ジミー・カーター(民主)、92年のビル・クリントン(民主)対 G.H.Wブッシュ(共和)、2004年のG.W. ブッシュ(共和)対ジョン ケリー(民主)、16年のドナルド・トランプ(共和)対 ヒラリー・クリントン(民主)の各選挙の場合、それぞれ選挙年の3月時点で伝統ある「Gallup」社が発表した世論調査と11月の実際の投票日とでは、いずれも結果は逆だった。
特に今年の大統領選の場合、今後、全米世論調査以外に勝敗を左右する極めて重要な要素として、①接戦が予想されるネバダ、アリゾナ、ジョージア、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン6州の形勢、②選挙戦後半にかけての国内経済状況、③トランプ候補が幾多の容疑で被告席に立たされことになっている裁判の進捗状況、④増加しつつある無党派層の動向――の4点が挙げられる。
スイングステートの動向
最初に注目したいのが、選挙人獲得レースのカギを握る上記6州での戦いだ。
16年選挙では、6州のうち、ネバダ州を除く5州でトランプ候補がヒラリー・クリントン候補に競り勝ったことで当選を果たした(ネバダ州だけはクリントン候補に得票数2%差で敗れた)。しかし、20年選挙では、バイデン候補が6州すべてを押さえた結果、トランプ氏は再選を果たせなかった。
では、24年選挙での6州はどちらが優勢なのか。