両陣営取り込み図るX世代
第四点目として目が離せないのが、無党派層の動向だ。
「無党派有権者」とは、通常は、民主、共和両党のいずれにも所属、登録せず、その時々の候補者次第でいずれかの党に所属する候補、あるいは無党派のまま立候補した人物に投票することが多い。その数は近年、着実に増加しつつある。
「Gallup」社が昨年3月実施した最新の党派別支持者調査によると、民主、共和両党がいずれも25%だったのに対し、「無党派」は49%にまで達していることが明らかになった。
この調査に携わった同社のジェフ・ジョーンズ氏は、無党派層が拡大しつつある一つの要因として、「X世代(generation X)」と呼ばれる1965年から80年に生まれた若い世代の多くが、既存政党にくみせず、選挙の際には人物次第で票を投じる傾向が目立っている点を指摘している。
ただ、ほぼ過半数に近いこれら「無党派」有権者が、本番の選挙の際に、民主、共和両党以外の「第三政党候補」に票を投じる割合は極めて限られており、例年の大統領選挙においても、投票総数の「3%前後」にとどまっている。
従って、2024大統領選においても、バイデン、トランプ両候補がこうした無党派有権者層をどれだけ自陣に取り込めるかが、大きなカギを握っているといえるだろう。
なお、もちろん、上記の4つの要因以外にも、選挙に大きな影響を及ぼしうるシナリオとして、世界情勢の激変も除外できない。
可能性は低いものの、ロシアによるウクライナ戦争の北大西洋条約機構(NATO)周辺国への拡大、パレスチナ自治区ガザを含む新たな中東戦争の勃発、台湾危機などの深刻な事態を招くことになれば、ただちにそれが、米大統領選にも波及、その行方は一層混迷の度を深めることになる