2024年5月9日(木)

バイデンのアメリカ

2024年1月11日

「不明」の2項目が勝敗を分ける

 その上で、改めて「13のカギ」の答えを総括すると、「イエス」が7項目、「ノー」が4項目、「不明」2項目という結果になる。

 そして、もし、リクトマン理論が今年の大統領選挙においてもそのままあてはまるとすれば、バイデン大統領の再選はほぼ間違いなしとの結論が導き出される。

 しかし、ここで問題となるのが、答えが現段階で「不明」のままとなっている2項目に関し、このまま11月の投票日前までに「イエス」か「ノー」のどちらかに変わるのか、あるいはそのまま投票日を迎えるのか、という点だ。

 もし、「不明」が「ノー」に変われば、「ノー」は合わせて6項目となり、リクトマン教授の理論に従い、バイデン再選は消え、トランプ返り咲きという結果になる。

 つまり、今年の大統領選挙は、直近および長期的経済状況次第、というわけだ。

 その米国経済だが、2024年に限ってみた場合、さまざまな見方がある。

 世界最大の銀行として知られる「J.P.Morgan Chase」のジンジャー・チャンブレス調査部長は、昨年12月22日付けの「2024年米国経済見通し」で以下のように指摘している:

1. 経済成長は減速し、2024年中に国内総生産(GDP)の伸びは0.7%程度となるが、失業率の急上昇を招くことなく物価を安定させるソフトランディングに向かう。住宅需要は改善する

2. 民間消費も前年と比べ減速するが、腰折れにはならならず、安定を維持する

3. 労働市場では求人難が幾分緩和に向かうとともに、企業による雇用も減少し始め、24年末までには失業率は4%半ばにまで増加が予想される。しかし、歴史的コンテキストからすれば、依然低水準にとどまる

4. 国内経済活動の足かせとなってきた半導体などの海外依存型サプライチェーン問題については、22年「半導体サイエンス法」および「インフレ抑制法」などの成立以来、国内生産重視型にシフトし、再編が始まっている

5. 他方で、米中摩擦の激化、ロシアによるウクライナ戦争、中東紛争などの地政学的リスクは依然存在する

 これに対し、伝統ある経済問題シンクタンク「The Conference Board」は、昨年12月13日付けの「2024年米国経済予測」で、要旨次のように論じている:

 「24年のGDPの伸びは前年の2.4%から0.9%に鈍化する。しかし、25年には好転し1.7%になると予測する。民間消費は24年第1四半期から第2四半期にかけて鈍化するが、同年後半にかけてインフレ率と金利が下がるにつれて、再び活発化するとみられる。

 ベビーブーマー世代の現役引退などの要因による雇用ひっ迫状況は変わらず、経済成長の極度の悪化を回避したまま、年内には再びリバウンドを促すことになる。25年を展望すると、経済成長はコロナ危機以前のより安定的成長に回復し、インフレ率も2%近くにまで落ち着くものとみられる」


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