2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2009年4月28日

 技術力を看板に掲げる多士済々の日本勢を、その特徴とともにみてみましょう。

 まず日本勢で最大の生産量を誇るシャープ(PVニュース社の08年世界生産量ランキングでは第4位)は、発電効率の高い結晶系から、シリコン使用量の少ない薄膜系までオールラウンドで生産を手がけています。今年秋には大阪・堺に新工場を立ち上げ、薄膜型太陽電池の大規模生産を始める予定です。堺工場で量産を目指す「トリプル型」という高効率の薄膜型太陽電池は、シャープのオンリーワン技術です。

 多結晶型が主軸の京セラはセラミック技術を元に、原料シリコンの溶融からモジュール生産まで一貫して自前で行うことを強みとしています。三洋は結晶と薄膜を重ねた『HIT』という高い技術力を要する商品で、業界トップクラスの変換効率(19.7%)を誇っています。

 化学素材で老舗のカネカは、薄膜型太陽電池ではトップクラスの12%という変換効率が強みです。また、異業種参入組となる昭和シェルは、シリコンを使わず、コスト競争力の高いCIS(銅・インジウム・セレン)型で勝負に出ようとしています。

 そして、これら日本勢を猛追する世界の新興メーカーをサポートしているのが、製造装置メーカーです。「多結晶型なら製造装置を買ってくれば誰でも作れるというレベルにまでなってきた」(業界関係者)といわれるくらいですから、既存の日系パネルメーカーはさぞかし製造装置メーカーの存在を憎らしく思っているだろうと想像したくなりますが、そうでもないようです。

 太陽電池製造装置メーカーのアルバックは、「日本に技術力を持った強いメーカーがあるからこそ、我々も成長できる」(FPD・PV営業統括部&電子・先端機器海外営業統括部長・萩之内剛氏)と話します。日本のセルメーカーは、太陽電池がまったく収益があがらなかった1980年代から、痛みをこらえて生産を続けてきました。その過程で、セルメーカーとすり合わせをしていくなかで、製造装置メーカーも技術を磨いてきたわけです。

 技術力にこだわるセルメーカーがあったからこそ、強力な製造装置メーカーが育つ――「セルメーカーが一歩先を行ってくれることによって、我々製造装置メーカーも進化できる。製造装置メーカーがセルメーカーを食いつぶすことはない」(萩之内氏)というのです。

 「日本のメーカーの強みは、機械を買ってきてそれでよし、としないところ」(萩之内氏)。すぐに生産できる装置だけを求める海外勢と違い、日本勢は独自の味付けをした生産技術を重視します。


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