前回(その1)の記事では、太陽電池産業の復権を図る日本勢をとりまく悲観論を紹介しました。今回のテーマは日本勢の強みとなすべきことです。
弊誌・月刊「WEDGE」の独占インタビューで、シャープの濱野稔重副社長は、「シャープをはじめとする日本企業の強みは何か」との問いにこう答えました。
「我が社は45年以上かけて生産技術を積み上げてきた。日本の灯台、ブイ、衛星に搭載されている太陽電池は100%シャープ製だ。これら遠隔地の過酷な環境下で、メンテナンスフリーと長期耐久性を実証している。いま新興メーカーも、認証機関の認証を取って、10年、20年といった長期保証をつけて太陽電池を販売しているが、結晶系なら20年超、薄膜系なら10年超の長期耐久性を、実績として証明できるのは日本勢だけだ」
シャープが太陽電池の開発に着手したのは1959年のこと。63年に量産化に成功し、横浜港の鶴見1号ブイに初めて採用されました。灯台では43年間で1900箇所以上、衛星では32年間で160機以上の搭載実績を持っています。
多士済々の日本勢
太陽電池セルやモジュール(セルをつないでパネルに組み立てたもの)といった、最終製品を手がける日本企業は、シャープ、京セラ、三洋電機の3強を筆頭に、三菱電機、三菱重工、カネカ、富士電機など。さらに昭和シェル石油、ホンダなど異業種からの参入もあり、群雄割拠ともいえる状況です。
これらセルメーカーに原材料や装置を供給するメーカーも数多く育っています。原料となるシリコンを製造するトクヤマ、ウエハーのSUMCO、セルをモジュールにする際に使われる封止材の三井化学、バックシートの東レ。さらにセル製造装置のアルバック、モジュール製造装置の日清紡。しかも、これらの企業はいずれも世界トップクラスの技術を持っています。