WEDGE REPORT

2009年6月2日

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6月半ばにも麻生太郎首相が決断するとみられる、2020年を目安とする温暖化ガス削減の中期目標。議論が最終局面に入っているなか、基幹労連(日本基幹産業労働組合連合会=鉄鋼、造船・重機、非鉄業界の労働組合を傘下に抱える産業別労働組合)事務局長の神津里季生氏に考えを聞いた(WEDGE Infinity編集部)。

――新聞各紙をみると「90年比▲7%」が落としどころ、との論調が目立っていますね。

(神津里季生・基幹労連事務局長、以下神津氏)これほど重要な問題を「間をとって」とか「落としどころ」などというスタンスで決めてよいのでしょうか。政府の「中期目標検討委員会」で6つの選択肢が示されたときから、中庸を好む日本人の国民性が間違って発揮されて、「真ん中あたりにある選択肢(3)<05年比 ▲14%、90年比▲7%> あたりがちょうどいいのでは」という議論になるのではないかと危惧していました。

  ※クリックすると温暖化ガス削減中期目標の選択肢一覧表が開きます

神津里季生・基幹労連事務局長

 政府の意見交換会にも出席しましたが、選択肢(1)<05年比▲4%、90年比+4%>か選択肢(6)<05年比▲30%、90年比▲25%>を推す声しかなく、選択肢(3)や(4)を推す声はほとんどありませんでした。合理的とは思えない選択肢(3)を「落としどころ」にするなら、はじめからそのつもりで6つの選択肢を作ったのかと言いたくもなります。

――神津さんは選択肢(1)<05年比▲4%>が妥当と主張されていますがなぜですか。

(神津氏)まず、日本はすでに世界最高レベルの省エネ国家であることを堂々と主張すべきです。米国やEUの半分のエネルギー効率である日本が、これ以上の削減をすることは乾いた雑巾をさらに絞ることと同じ。米国は京都議定書の枠組みから離脱したことで何の犠牲も払わずにこの20年間で20億トン弱のCO2を増やす見通しですし、 EUも東欧12カ国を取り込んだことで、どちらもだぶだぶの雑巾になっています。なぜ日本がそんなところと数字づらの目標値だけ合わせて、途方もない負担を国民が背負うことにならなければいけないのでしょうか。

 諸外国のエネルギー効率をみれば、選択肢(1)でも日本は立派に手を挙げていることになります。日本の技術を世界に展開して、他の国が同じエネルギー効率で経済活動できるようにしていくことがもっとも必要なのに、日本が「高すぎる目標」を掲げて自ら国力を弱めれば、他国への技術転用も、さらなる省エネ技術の開発もする余裕がなくなってしまいます。これは温暖化対策として、むしろ逆行しています。

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