2024年4月27日(土)

中国メディアは何を報じているか

2014年7月1日

『艦船知識』掲載の沈総設計師による本巻頭言

 中国の南シナ海には豊富な石油・天然ガス資源があり、石油埋蔵量は約230~300億トンに上ると見られる。天然ガスは16兆立方メートルで我が国の総埋蔵量の3分の1を占める。うち70%が深海海域と見られている。南シナ海での島礁の主権や領海を巡る係争が熱を帯びる中、周辺諸国も石油・天然ガス探査を加速させており、近海、沿海から深海海域へと進出している。我が国が主張する「争議を棚上げし、共同開発を進める」原則は周辺諸国から肯定的反応を得ていないどころか一部の国は「早い者勝ち」と手段を講じ「既成事実」作りだして中国の主権を侵犯し、石油・天然ガス資源を併呑しようとしている。

 こうしたことから我が国の南シナ海で権益を守り、石油・天然ガス開発は一刻の猶予もならない。「海洋石油981」はこうした背景の下に生まれた。複雑な主権係争と衝突に直面し、我が国の石油・天然ガス開発は必ずしも順調に事が運ぶとは限らないだろう。しかし、我が国の南シナ海開発の戦略とプロセスは断固として進めるべきで退路はない。

 南シナ海の中部、南部での地理条件や保障の不利な要素もあり、周辺国が手段を選ばず、妨害、破壊を行う中で、我が国は南シナ海での石油・天然ガス開発の正常な作業を保障する為に開発防御態勢の構築を重視しなければならない。海警法執行能力と装備建設を強化するとともに西沙、南沙諸島海域に保障基地を建設して法執行能力を高め、俊敏に反応し、継続できるよう配備を進めるべきだ。

【記事②『艦船知識』誌2014年7期(抄訳)】

 5月3日、中国海事局は航行通告を発表した。中国海洋石油総公司の「海洋石油981」石油掘削リグが北緯15度29分58秒、東経111度12分6秒を中心に半径3カイリ範囲の中国西沙海域で3カ月の掘削作業を行うことを発表した。その後、ベトナム側は我が国の掘削作業の妨害を始めた。

 南シナ海は「第二のペルシャ湾」とも呼ばれ、200-300億トンの石油埋蔵があるとされる。これまで東南アジア諸国の石油採掘量は年間6000トン程度で、石油の生産は沿岸の大陸棚のガス田で行われるのが主で九段線内での生産はごく一部分にすぎなかった。


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