世界の記述

2014年9月25日

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秋野紅葉 (あきの・こうよう)

バンコク在住ビジネスマン

 私は根っからの犬好きで、25年程前に某社の駐在員としてバンコクに滞在したときは犬を飼いたいばかりに庭付きの一軒家に住んでいた。当時勤めていた会社は駐在員約50名、合弁会社への出向者約50名、都合約100名の邦人派遣社員を擁する大所帯だったが、治安上の理由から皆マンション暮らしで、一軒家に住んでいるのは社宅をあてがわれている現地法人の社長と我家だけだった。

 当時のことを思い出すと、タイでは犬はあらゆる生き物の中でなぜか最下等という、誠にありがたくない地位を貰っていた。そのため、犬をペットに飼う人などほとんどおらず、飼うとすれば番犬としてだった。そんな訳で、街で見かける犬といえばほとんどが野良犬だった。

 理解に苦しみ、悲しかったのは、普段は穏やかなタイ人が犬を見ると何もしていないのにいきなり蹴飛ばしたり叩いたりすることだった。犬に対する扱いは25年経った今でこそ多少は良くなったが、可哀そうな野良犬たちが相変わらずおどおど、びくびくして暮らしているのは残念なことである。

 さて、ところがである。この国の人々の国王に対する尊敬の念の強さは世界でも知られている通りであるが、10年ほど前から、国王陛下も実は犬好きで、積極的に野良犬を保護し、保護した犬を宮殿でご自分の傍において飼っておられることが世間でも知られるようになった。その影響で次第に近所の野良犬に餌をやったり、首輪を付けてあげたりして地域ぐるみで野良犬の面倒を見る人が少しずつ増え、今では珍しいことではなくなってきた。

僧侶の前でくつろぐバンコクの犬(AP/AFLO)

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